職場円満プロジェクト

2012年10月12日

「中間管理職のための、人を動かすビジネス・コミュニケーション術」<第3回>

第3回は、ビジネス・コミュニケーション術の応用編。部下との関係を築きにくいケースや、予期せぬ事態に陥ったときなど、田島さんにいくつかの具体例を挙げていただき、解決への糸口を見つけていく。

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部下の個性に応じて、変化させるアプローチ

 


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 人付き合いとしてのコミュニケーションは苦手でも、部下を観察し、たった5秒の声掛けを実践していただければ、チーム内は必ず活性化します。そしてその積み重ねが、日々業務を続けている中で発生する、さまざまな問題に対しても効力を持つようになるのです。中間管理職が立ち向かうべき課題に対して、より実践的なコミュニケーション術を紹介しましょう。

 

 

 私がマイクロソフトで管理職になったとき、年上の部下との信頼関係が築けずに悩んだことがありました。そこで、ほかの部下のように指示ベースではなく、数字を使ったコミュニケーション、つまり対話の軸をロジカルにすることを心掛けました。仕事のやり方は本人に任せた上で、「数値目標に届いていませんね。どうしましょうか?」と、数字を使って結果にのみ口を出すという方法です。さらに、仕事ができて業界経験も豊富な方だったので、チームのご意見番としての役割を果たしてもらうようにも働き掛けました。すると、関係が修復でき、報告・連絡・相談をしてくれるようになったのです。

 

 

 一方、仕事にのめり込みすぎてしまい、ほかの部下に強いいい方をしてしまう女性社員がいました。そこで彼女がトーンダウンするようにコミュニケーションを図り、自分の目線で求める結果ではなく、仕事の目線で結果を捉えようという気付きを促したことで、部下同士で協力し合えるようになったこともあります。優秀な部下が空回りしている状況を察知して、チームとしての力を高められた事例です。

 

トラブルへの対処が部下を成長させる

 

 

 中間管理職として多く直面するのが、部下の業務目標の未達です。たとえば、営業成績が伸び悩んでいる部下がいるとき、ベストなパフォーマンスを引き出すために、どうフォローしたらいいのでしょうか。

 

 

 まずは徹底的にヒアリングします。個別に聞いていく中で、自分で理由を考えられる部下ならば、状況を正確に把握することで、比較的早く原因究明につなげられるでしょう。しかし、お客さまの言葉を上司にただ伝えるだけの"伝書バト"のような部下には、時間をかけた「解きほぐしコミュニケーション」が必要となってきます。これは、実際のお客さまとの会話を一つひとつ振り返り、「なぜお客さまは無理といったの?」「見積もりと予算を比べてどうだった?」などと質問しながら、どこに自分の思考をはさんでいくべきなのかを考えさせる方法です。

 

 

 ヒアリングの次は、解決のためのアクションを実行します。その際、失敗などでパニックに陥っている部下には、「お客さまにとっての主役はあなただから、最後までしっかり対応するように」と伝えるといいでしょう。トラブルは、解決につながれば単なる過程にすぎないので、あまり失敗を恐れずにチャレンジし続けてほしいという気持ちも込めて。また、中間管理職が、部下の仕事の進捗を知るとともに、お客さまへの訪問回数や電話のようすなども察知しておけば、防げるトラブルもあります。

 

 

 チーム内で意見が対立するといった事態が起こることもあるでしょう。そのときは、しばらく静観しますが、長く状況が変わらなければ中間管理職が判定役となります。そして、採用されない意見であっても間違いではないこと、達成するべき目標は一つであることを確認させましょう。感情的なもつれに発展しないように、日頃から観察を続け、気になる点があればほかの部下が伝えてくれるような関係を築いておきたいものです。

 

 

 仕事で困難やトラブルが発生したときにこそ、中間管理職は真価を問われます。普段は部下をバックエンドでフォローするというやり方でも、何かあったときは矢面に立ち、部下とともに解決していくという姿勢が大切でしょう。ピンチのときに上司がどう行動するか、部下に姿を見せる機会にもなります。

 

 

 面倒に思われがちな観察や声掛けは、部下との間の不要な垣根を下げ、いざという場面で効果を発揮します。全てが成果を出すための方法論だと考えてみてはいかがでしょうか。私の声掛けによってビジネス・コミュニケーションが活性化し、それがチームとしての力に結びつき、結果、社長賞をいただいたとき、部下が盾を受け取る光景を見て大きな喜びを感じました。部下の成長を実感することこそが中間管理職の醍醐味です。

 

 

 もっとも人にまみれてハブの役割を果たす中間管理職は、コミュニケーション力を磨くチャンスであり、次のステップへ進むためのプロセスだと考えてください。

 

 

 また、女性社員は積極的に管理職を目指さない人が多いですが、女性は資質として観察力・調整力に長けている人が多いので、これからは上司がそうした特質を認めて、管理職へ推していくことも必要だと思います。

 

 

 ぜひ、社内の対話によって好循環を生み、中間管理職の負担を減らして、真価を発揮しましょう!

 


図表3
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(この記事は2012年10月12日公開のものです)

 

 

【関連記事】

 ⇒ 「中間管理職のための、人を動かすビジネス・コミュニケーション術」<第1回>

 ⇒ 「中間管理職のための、人を動かすビジネス・コミュニケーション術」<第2回>

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