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2013年02月13日

職場円満プロジェクト【コミュニケーション】

見直される飲みニケーションの効用

飲みニケーションで職場の人間関係を円滑に

見直される飲みニケーションの効用

 

近年はネガティブに受け止められることも多い「飲みニケーション」。年々職場の飲み会の回数が減少している一方で、上司・部下、年代などを超えたコミュニケーションの場として再評価する動きがある。意外にも若い世代で、「飲みニケーション」に対する期待が高いようだ。管理職としては、これを有効に活用しない手はないだろう。

 

 

飲みニケーション再評価の背景とは

 

仕事の後に同僚や先輩後輩と一緒にちょっと居酒屋で一杯。職場の人間関係を円滑にする、いわゆる飲みニケーション。"古くさい"といわれそうだが、実は最近、こうしたコミュニケーションの在り方が見直されている。

 

社内での飲み会に補助を出すなど、施策として奨励する企業まであるという。

 

思えば80年代以前、ビジネスマンにとって酒の席での付き合いは必須ともいえた。アフターファイブでの親密なコミュニケーションによって作られる職場の人間関係が日本企業の強みとも考えられていた。

 

そんな飲みニケーションが廃れていった理由の一つは、バブル期以降、日本社会が個人主義的な思潮に染まっていったこと。そして90年代以降、欧米流の成果主義によって"同僚はライバル"という意識が強くなり、会社での私的な交流を阻害したためだろう。

 

飲みニケーション再評価の背景には職場の人間関係が希薄になってしまったことへの反省がある。いや、何より、そんな職場で働く人たちがコミュニケーションを切実に求めているということなのだろう。


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(写真はイメージです)

 

 

新人・若手より中間管理職世代の方が及び腰!?

 

株式会社ぐるなびが新入社員と入社2、3年目の社員を対象に行った飲み会についての意識調査(「若手社員の職場飲み会に関する意識調査」2012年4月発表)がある。これによれば新入社員の約6割、2、3年目の社員でも約5割が飲み会に「行きたい・まあまあ行きたい」という積極的な回答を寄せている。そして飲み会に期待することとして全体の65.5%が同席者とのコミュニケーションを上げた。

 

よく"若い人たちは上司が飲みに誘っても付いてこない"などといわれるが、この調査を見る限りそんなことはないようだ。

 

むしろ飲み会に及び腰なのは上司の方というケースも考えられる。現在、40、50歳代の中間管理職世代は、バブル期の入社。圧倒的な売り手市場という雇用環境の中で新社会人となった彼らは"新人類"と呼ばれ、会社よりもプライベートを優先する傾向が顕著だった。


そんなミドルマネージャーからすると、自分がそうであったのと同様、"部下を酒に誘っても迷惑がられるだろうし、誘っても断られるのがオチ"と考えてしまうのかも。

 

しかし、氷河期世代以降、最悪な雇用環境下でようやく職を確保した若い世代は企業や上司に対して従順なのだ。むしろ、上司や先輩社員の飲みの誘いを断るなど思いも寄らないことであり、非公式な場でのコミュニケーションによって職場での人間関係をより安定させたいと思っている。

 

つまり、飲みニケーションで職場の人間関係を円滑にしたいと思う中間管理職は、何も悩むことはない。どんどん、部下を誘えばいい。素直な若い世代は喜んで付いて来るハズだ。

 

飲み2.jpg

(写真はイメージです)

 

 

いつの世も後ろ向きな飲み会は嫌われる

 

酒席で、社内の派閥や対立関係についてなど、普段大きな声では話せない、しかし現実問題として重要な非公式情報を与えてやることで新入社員は自分の立ち位置を確認し、安心して仕事ができるようになるだろう。また上司である自分の新人時代の失敗談などを打ち明けてやれば、若手は共感もし、また失敗に臆することがなくなるかもしれない。このように飲みニケーションの効用は少なくない。

 

しかし、である。職場の飲み会が仕事上の愚痴に終始する後ろ向きなものであったり、ある種のセクト主義の温床だったりすることもしばしば。だからこそ忌避されるようになったという側面もあることを忘れるべきではないだろう。

 

そのような酒場の暗黒面に落ちないよう注意しつつ、飲みニケーションの有効活用を目指したい。


 

 

(この記事は2012年11月28日公開/2013年2月13日更新のものです)

 


<著者プロフィール>

 

宇田川しい (うだがわ しい)

 

コラムニスト、ライター
東京宇田川しい事務所代表


東京都中央区出身。和光大学中退後、出版社勤務を経てフリーランスに。
企業への取材を元に組織論、マーケティング、プロダクト史などの執筆活動を行う。プロダクト史では特にミッドセンチュリー期の家具が得意分野で、無類の椅子好きでもある。また、カルチャー系など軽めのコラムも執筆。
現在、ビジネスマガジンアプリ『Management Leader』で世の中のあらゆることに懐疑的に突っ込むエッセイ「疑わしい世界」を連載中。


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