コラムBOX

2014年04月21日

営業社員には残業代を支払わなくてもよいか?

判例からみた労働時間の算定と実労働時間

営業社員には残業代を支払わなくてもよいか?

 

判例からみた労働時間の算定と実労働時間

営業社員には残業代を支払わなくてもよいか?
判例からみた労働時間の算定と実労働時間
石居 茜 (いしい あかね)
弁護士(ロア・ユナイテッド法律事務所パートナー弁護士)
営業社員などの外勤の社員には残業代を支払わなくてもよい、という話がありますが
、本当にそうでしょうか。
確かに、労働基準法には、従業員の方が外勤など、職場以外で働いた場合に、労働時
間を算定しがたいときは、就業規則などの所定労働時間働いたものとみなす制度があ
ります。
外勤の社員は、直行・直帰があるなど、労働時間が把握しにくいので、会社が従業員
の労働時間を把握・管理しなければならない原則を修正し、就業規則などで定めた時
間働いたものとみなし、時間外労働が発生していないとして取り扱うこととしたもの
です。時間外労働が発生していないので、時間外労働割増賃金の支払いも必要ありま
せん。
しかし、この制度(みなし制)が適用されるためには、「労働時間が算定しがたい」
といえることが必要であり、外勤者であっても、実労働時間が算定可能な場合には、
適用されないのです。
例えば、裁判例では、書籍等の訪問販売を主たる業務とする営業社員が土日の休日展
覧会での業務に対し、残業代を請求した事案で、このみなし制が適用されるかが争わ
れましたが、業務場所・時間が限定されていること、上司も来ていて監督していたこ
と、顧客への対応時間以外の時間も顧客の来訪に備えて待機していなければならず、
休憩時間とは認められないなどの理由から、「労働時間が算定しがたい」場合とはい
えないとして、みなし制の適用が認められないとした判例があります。
つまり、所定労働時間働いたとはみなされず、実労働時間に基づく残業代請求が認容
されたのです。
また、他の裁判例では、外勤の営業社員でしたが、毎朝、会社に出社して朝礼に出席
してから営業に出かけ、基本的に、会社に戻って事務所内の掃除をして終業としてい
たこと、行動内容を書いた予定表を会社に提出していたこと等から、やはり、「労働
時間が算定しがたい」場合とはいえないとして、みなし制の適用が認められないとし
た判例があります。
もうひとつ別の例では、同じように外勤中心の営業社員で、2割から3割程度は直行直
帰もあったという事案でしたが、営業活動については毎日報告書を提出することとさ
れ、訪問時刻、退出時刻、訪問回数、見込み、結果、今後の対策等を記載することと
されていたこと等から、事業場外の業務は報告書や打ち合わせで上司に把握されてお
り、従業員が、事業所外における営業活動中に、その多くを休憩時間にあてたり、自
由に使えるような裁量はないので、従業員の労働は、会社の管理下にあったといえ、
労働時間の算定が困難とはいえないとしました。
このように、営業社員でも、直行・直帰していない場合や、具体的な指揮監督が及ん
でいて、自由裁量がないような場合には、ほとんどが、会社の管理下にあるとされ、
労働時間の算定は可能であったと扱われます。
つまり、実労働時間に基づいた残業代を支払う必要があるのです。
「営業社員であるからといって、安易に残業代を支払わなくてもよい」とは考えず、
業務実態や毎月発生する残業実態に合わせ、対策を行うことが必要です。
<著者プロフィール>
※顔写真
弁護士 石居 茜(いしい あかね)
ロア・ユナイテッド法律事務所パートナー弁護士
http://www.loi.gr.jp/
(※仮)専門分野は労働法。人事労務を中心に会社の法律相談、労働審判、訴訟など
を担当しています。特徴としては、就業規則の作成・改定・給与体系の見直しができ
、残業請求対策を提案します。最近は、・相続・中小企業の事業承継にも力を入れて
います。現在財団法人ベターホーム協会の社外理事を務めています。
連絡先:
ロア・ユナイテッド法律事務所
弁護士 石居 茜
東京都港区虎ノ門1?1?23 虎ノ門東宝ビル9階
TEL  03(3592)1811(担当秘書直通)
TEL  03(3592)1791(代)
FAX  03(3592)1793
URL : www.loi.gr.jp

 

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弁護士 石居 茜 (いしい あかね)

ロア・ユナイテッド法律事務所 パートナー弁護士

http://www.loi.gr.jp/


営業社員などの外勤の社員には残業代を支払わなくてもよい、という話がありますが、本当にそうでしょうか。


確かに、労働基準法には、従業員の方が外勤など、職場以外で働いた場合に、労働時間を算定しがたいときは、就業規則などの所定労働時間働いたものとみなす制度があります。


外勤の社員は、直行・直帰があるなど、労働時間が把握しにくいので、会社が従業員の労働時間を把握・管理しなければならない原則を修正し、就業規則などで定めた時間働いたものとみなし、時間外労働が発生していないとして取り扱うこととしたものです。時間外労働が発生していないので、時間外労働割増賃金の支払いも必要ありません。


しかし、この制度(みなし制)が適用されるためには、「労働時間が算定しがたい」といえることが必要であり、外勤者であっても、実労働時間が算定可能な場合には、適用されないのです。


例えば、裁判例では、書籍等の訪問販売を主たる業務とする営業社員が土日の休日展覧会での業務に対し、残業代を請求した事案で、このみなし制が適用されるかが争われましたが、業務場所・時間が限定されていること、上司も来ていて監督していたこと、顧客への対応時間以外の時間も顧客の来訪に備えて待機していなければならず、休憩時間とは認められないなどの理由から、「労働時間が算定しがたい」場合とはいえないとして、みなし制の適用が認められないとした判例があります。


つまり、所定労働時間働いたとはみなされず、実労働時間に基づく残業代請求が認容されたのです。


また、他の裁判例では、外勤の営業社員でしたが、毎朝、会社に出社して朝礼に出席してから営業に出かけ、基本的に、会社に戻って事務所内の掃除をして終業としていたこと、行動内容を書いた予定表を会社に提出していたこと等から、やはり、「労働時間が算定しがたい」場合とはいえないとして、みなし制の適用が認められないとした判例があります。


もうひとつ別の例では、同じように外勤中心の営業社員で、2割から3割程度は直行直帰もあったという事案でしたが、営業活動については毎日報告書を提出することとされ、訪問時刻、退出時刻、訪問回数、見込み、結果、今後の対策等を記載することとされていたこと等から、事業場外の業務は報告書や打ち合わせで上司に把握されており、従業員が、事業所外における営業活動中に、その多くを休憩時間にあてたり、自由に使えるような裁量はないので、従業員の労働は、会社の管理下にあったといえ、労働時間の算定が困難とはいえないとしました。


このように、営業社員でも、直行・直帰していない場合や、具体的な指揮監督が及んでいて、自由裁量がないような場合には、ほとんどが、会社の管理下にあるとされ、労働時間の算定は可能であったと扱われます。


つまり、実労働時間に基づいた残業代を支払う必要があるのです。


「営業社員であるからといって、安易に残業代を支払わなくてもよい」とは考えず、業務実態や毎月発生する残業実態に合わせ、対策を行うことが必要です。

 

<関連情報>

年俸制の場合、残業代は発生するのか

 http://www.mng-ldr.com/column/2014/04/28/post-21.php

 

会社が年休の買取や休暇の時季を指定することは可能なのか?

http://www.mng-ldr.com/column/2014/05/19/post-22.php



<著者プロフィール>

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弁護士 石居 茜(いしい あかね)

ロア・ユナイテッド法律事務所パートナー弁護士


専門分野は労働法。人事労務を中心に会社の法律相談、労働審判、訴訟などを担当しています。特徴としては、就業規則の作成・改定・給与体系の見直しができ、残業請求対策を提案します。最近は、・相続・中小企業の事業承継にも力を入れています。現在財団法人ベターホーム協会の社外理事を務めています。


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