コラムBOX

2013年11月11日

マネジメントに必要な法人税の基礎講座 【第8回】

第8回 「低廉譲渡」という問題

マネジメントに必要な法人税の基礎講座

 

第8回 「低廉譲渡」という問題

マネジメントに必要な法人税の基礎講座
第8回 「低廉譲渡」という問題
税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO
株式会社エム・ソリューション代表取締役 
公認会計士、税理士 村形 聡
前回、税務上の時価とは、あくまでも「第三者取引価格」であるというお話をしました。
ところが、ここで気を付けなければならないポイントがあります。それは、「低廉譲渡」と
いう問題です。「低廉譲渡」とは、時価よりも著しく低い価額による譲渡取引です。ある取
引が、この「低廉譲渡」と認定されてしまうと、時価と取引価格との差額に、課税の問題が
生じてしまいます。
例えば、以前に書いた例(第6回「取引価格」と「時価」とのギャップ)ですが、「時価3億
円の土地を1億円で売買した」という事例では、この取引価額1億円が時価3億円を著しく下回
るため、「低廉譲渡」とみなされ、結果的に、この取引は3億円で行われたものとされてしま
い、2億円の売却益に対する課税が行なわれてしまいます。
では、「著しく低い価額」の「著しい」とは、どの程度かと言いますと、税法では「おおむ
ね50%を下回る」という基準があります。つまり、先の例では、時価が3億円ですから、
1億8千万円で取引していれば「低廉譲渡」にはならなかったのに、1億円という「おおむね50
%を下回る」価格で取引をしてしまったために、「低廉譲渡」とみなされてしまったってい
うことです。
つまり、取引価格が安かったことについて、一所懸命に説明をしたが、説明が不十分であっ
た場合には、この50%を下回るという基準によって判定されるということです。
さらに言えば、この50%基準が、ある程度機械的に適用されるため、それより低い価格の取
引を税務当局に納得してもらうのは、かなり困難だということでもあります。
ですから、税務的に安全な取引をしたければ、50%基準に抵触しないようにした方がよいと
いうことになります。
さて、それでは、こういう事例について一緒に考えて見ましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時価が3億円、相続税評価額が2億円の土地を父親から息子に2億円で売却しました。
税務署は、親子間の取引であるから2億円は「第三者間取引価格」とは認められない。
したがって、この取引はあくまでも3億円で行われたものとみなすと言い出しました。
一方、親子は、相続税評価額という公的な評価額を使っているのだから、2億円という取引価
格に問題は無いと主張します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて、どちらが勝つでしょう?
実は、この事例と良く似たケースに対して、平成19年8月に判例が出ています。
結論は、なんと! 親子の勝ちでした。
判決理由は以下の通りです。
? まず、土地の時価は相続税評価額にかかわらず3億円である。
? しかしながら、相続税評価額という公にされた価格で取引をしている以上、価格の
操作を行なう余地も無く、それを税務上、時価と逸脱しているとは言い難い。
? 実際に、時価の50%を超える価格による取引であるから低廉譲渡にも当たらない。
なるほど、税務って、とってもロジカルですね。

 

税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO

株式会社エム・ソリューション代表取締役 

公認会計士、税理士 村形 聡

 

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前回、税務上の時価とは、あくまでも「第三者取引価格」であるというお話をしました。ところが、ここで気を付けなければならないポイントがあります。それは、「低廉譲渡」という問題です。「低廉譲渡」とは、時価よりも著しく低い価額による譲渡取引です。ある取引が、この「低廉譲渡」と認定されてしまうと、時価と取引価格との差額に、課税の問題が生じてしまいます。


例えば、以前に書いた例(第6回「取引価格」と「時価」とのギャップ)ですが、「時価3億円の土地を1億円で売買した」という事例では、この取引価額1億円が時価3億円を著しく下回るため、「低廉譲渡」とみなされ、結果的に、この取引は3億円で行われたものとされてしまい、2億円の売却益に対する課税が行なわれてしまいます。


では、「著しく低い価額」の「著しい」とは、どの程度かと言いますと、税法では「おおむね50%を下回る」という基準があります。つまり、先の例では、時価が3億円ですから、1億8千万円で取引していれば「低廉譲渡」にはならなかったのに、1億円という「おおむね50%を下回る」価格で取引をしてしまったために、「低廉譲渡」とみなされてしまったっていうことです。


つまり、取引価格が安かったことについて、一所懸命に説明をしたが、説明が不十分であった場合には、この50%を下回るという基準によって判定されるということです。


さらに言えば、この50%基準が、ある程度機械的に適用されるため、それより低い価格の取引を税務当局に納得してもらうのは、かなり困難だということでもあります。


ですから、税務的に安全な取引をしたければ、50%基準に抵触しないようにした方がよいということになります。


さて、それでは、こういう事例について一緒に考えてみましょう。


 

時価が3億円、相続税評価額が2億円の土地を父親から息子に2億円で売却しました。

税務署は、親子間の取引であるから2億円は「第三者間取引価格」とは認められない。

したがって、この取引はあくまでも3億円で行われたものとみなすと言い出しました。

一方、親子は、相続税評価額という公的な評価額を使っているのだから、

2億円という取引価格に問題は無いと主張します。



さて、どちらが勝つでしょう?


実は、この事例と良く似たケースに対して、平成19年8月に判例が出ています。

結論は、なんと! 親子の勝ちでした。


判決理由は以下の通りです。


1) まず、土地の時価は相続税評価額にかかわらず3億円である。

2) しかしながら、相続税評価額という公にされた価格で取引をしている以上、

価格の操作を行なう余地も無く、それを税務上、時価と逸脱しているとは言い難い。

3) 実際に、時価の50%を超える価格による取引であるから低廉譲渡にも当たらない。


なるほど、税務って、とってもロジカルですね。

 

第9回に続く

 

<関連情報>

第1回 法人税の仕組みとは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/02/1.php


第2回 税務上の「寄附金」とは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/09/post-14.php

 

第3回 税金を追徴されるケース

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/17/-3.php

 

第4回 会社が税務調査官からどのように見られているのか

 http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/23/post-15.php

 

第5回 税務調査の「お土産」とは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/30/-5-1.php

 

第6回 「取引価格」と「時価」のギャップ

http://www.mng-ldr.com/column/2013/10/07/post-16.php

 

第7回 同族間の「取引価格」はどのように判断されるか?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/10/15/7.php

 

第9回(最終回) タダで行われた取引が益金になる!?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/11/18/9.php

 


<著者プロフィール>

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村形 聡


税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO

株式会社エム・ソリューション代表取締役 

慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士、税理士。


大手監査法人にて銀行、証券会社、専門商社、製造業、ホテル業、建設業、ゴルフ場など幅広い分野にわたる会計監査に従事するかたわら、株式公開支援業務として様々な業種に対するコンサルティング業務にも従事。独立後は、「会社を元気にする税理士」として税理士業務を主軸としながら、ベンチャー企業の経営コンサルティング業務、M&A支援コンサルティング、企業のターン・アラウンドに関するコンサルティング業務、最近ではマーケティングに関するコンサルティングにも力を注いでいる。


税理士法人ゼニックス・コンサルティング

http://www.xenix.com/


村形聡氏ブログ

http://ameblo.jp/xenix/

 

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