コラムBOX

2013年10月07日

マネジメントに必要な法人税の基礎講座 【第6回】

「取引価格」と「時価」とのギャップ

マネジメントに必要な法人税の基礎講座


第6回 「取引価格」と「時価」とのギャップ

マネジメントに必要な法人税の基礎講座
サブタイトル:第6回 「取引価格」と「時価」とのギャップ
税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO
株式会社エム・ソリューション代表取締役 
公認会計士、税理士 村形 聡
皆さんは、税の世界で、「取引が時価で行われたとみなす」という大原則があるというのを
ご存知でしょうか。
例えば、「帳簿価額が1億円の土地だから、1億円で売却しました。売却益はゼロだから、税
金かかりません!」と、やりたいところですが、そういうわけには行かないのです。
もしも、この土地が3億円の価値があるとすると、売却益2億円に対する課税が発生するので
す。
「えーっ、ちょっと待ってくれよ。1億円で売ったのだから、1億円しかもらっていない。3億
円で売ったことにするなんてインチキだろ。」
言いたいことはわかりますが、このような取り扱いは、法人税法に明記された税法上のルー
ルなのです。
先の例について、税の世界では、次のように解釈されます。
?まず、3億円で土地を売った。
?次に代金3億円のうち2億円を買主にあげた。
すると、
?売価3億円 - 簿価1億円=売却益2億円 として、この2億円に課税。
?買主にあげた2億円は寄附金とされ、ほとんど損金にはならない。
となってしまい、結局、売却益2億円に対する課税は免れようが無いのです。
税の世界では、しばしばこのように取引を擬制して課税を決定します。実際に、「買主に2
億円あげた」なんて意識が無くったって、税務上は「あげた」ことにされてしまうんです。
ですから、このことを知らないで、安直な価格で取引を行なうと、後で大変な目に会います
ところで、「時価」って、いったいどういう値段のことなのでしょうか。すこし難しい言葉
で言うと、税法の大原則は、「客観的交換価値」といわれるものです。
さらに言えば、
「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立すると認められる価額」と
いうことです。「第三者取引価格」と呼ばれることもあります。
ここでポイントとなるのが、「客観的」っていう部分、「第三者」っていう部分です。
つまり、同族関係者であるとか、そういう特別な利害関係が無い者同士が、お互いに合意を
した合理的な取引価格であるのなら、それを、税務上も時価として認められなければ
おかしいというのが原則です。
そりゃそうです。他人に必要以上に安く売るわけ無いのですから。3億円の価値のある土地を
、赤の他人に1億円で売るなんてことは、通常の取引ではあり得ないはずなのです。実際の取
引価格と、時価とのギャップが問題になるのは、特別な利害関係者が当事者となる取引に限
定されるべきです。
そのあたりのことを、税務調査官に主張することを避け、妙に保守的に考える余り、お客様
に不要な税金を払わせる税理士が多いものです。
また、それに便乗して、課税できないものにまで課税しようとする税務調査官も少なくあり
ません。「他人に必要以上に安く売るわけ無いでしょ!」と強く主張したいところです。
第7回へつづく
<著者プロフィール>
 
村形 聡
税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO
株式会社エム・ソリューション代表取締役 
慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士、税理士。
大手監査法人にて銀行、証券会社、専門商社、製造業、ホテル業、建設業、ゴルフ場など幅
広い分野にわたる会計監査に従事するかたわら、株式公開支援業務として様々な業種に対す
るコンサルティング業務にも従事。独立後は、「会社を元気にする税理士」として税理士業
務を主軸としながら、ベンチャー企業の経営コンサルティング業務、M&A支援コンサルティン
グ、企業のターン・アラウンドに関するコンサルティング業務、最近ではマーケティングに
関するコンサルティングにも力を注いでいる。
税理士法人ゼニックス・コンサルティング
http://www.xenix.com/
村形聡氏ブログ
http://ameblo.jp/xenix/

 

税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO

株式会社エム・ソリューション代表取締役 

公認会計士、税理士 村形 聡

 

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皆さんは、税の世界で、「取引が時価で行われたとみなす」という大原則があるというのをご存知でしょうか。


例えば、「帳簿価額が1億円の土地だから、1億円で売却しました。売却益はゼロだから、税金かかりません!」と、やりたいところですが、そういうわけには行かないのです。


もしも、この土地が3億円の価値があるとすると、売却益2億円に対する課税が発生するのです。「えーっ、ちょっと待ってくれよ。1億円で売ったのだから、1億円しかもらっていない。3億円で売ったことにするなんてインチキだろ。」言いたいことはわかりますが、このような取り扱いは、法人税法に明記された税法上のルールなのです。


先の例について、税の世界では、次のように解釈されます。


(1) まず、3億円で土地を売った。

(2) 次に代金3億円のうち2億円を買主にあげた。


すると、


(1) 売価3億円 - 簿価1億円=売却益2億円 として、この2億円に課税。

(2) 買主にあげた2億円は寄附金とされ、ほとんど損金にはならない。


となってしまい、結局、売却益2億円に対する課税は免れようが無いのです。


税の世界では、しばしばこのように取引を擬制して課税を決定します。実際に、「買主に2億円あげた」なんて意識が無くったって、税務上は「あげた」ことにされてしまうんです。ですから、このことを知らないで、安直な価格で取引を行なうと、後で大変な目に会います。


ところで、「時価」って、いったいどういう値段のことなのでしょうか。すこし難しい言葉で言うと、税法の大原則は、「客観的交換価値」といわれるものです。さらに言えば、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立すると認められる価額」ということです。「第三者取引価格」と呼ばれることもあります。


ここでポイントとなるのが、「客観的」っていう部分、「第三者」っていう部分です。


つまり、同族関係者であるとか、そういう特別な利害関係が無い者同士が、お互いに合意をした合理的な取引価格であるのなら、それを、税務上も時価として認められなければおかしいというのが原則です。


そりゃそうです。他人に必要以上に安く売るわけ無いのですから。3億円の価値のある土地を、赤の他人に1億円で売るなんてことは、通常の取引ではあり得ないはずなのです。実際の取引価格と、時価とのギャップが問題になるのは、特別な利害関係者が当事者となる取引に限定されるべきです。


そのあたりのことを、税務調査官に主張することを避け、妙に保守的に考える余り、お客様に不要な税金を払わせる税理士が多いものです。


また、それに便乗して、課税できないものにまで課税しようとする税務調査官も少なくありません。「他人に必要以上に安く売るわけ無いでしょ!」と強く主張したいところです。


第7回へつづく

 

<関連情報>

第1回 法人税の仕組みとは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/02/1.php


第2回 税務上の「寄附金」とは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/09/post-14.php

 

第3回 税金を追徴されるケース

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/17/-3.php

 

第4回 会社が税務調査官からどのように見られているのか

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/23/post-15.php

 

第5回 税務調査の「お土産」とは?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/09/30/-5-1.php

 

第7回 同族間の「取引価格」はどのように判断されるか?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/10/15/7.php

 

第8回 「低廉譲渡」という問題

http://www.mng-ldr.com/column/2013/11/11/post-17.php 

 

第9回(最終回) タダで行われた取引が益金になる!?

http://www.mng-ldr.com/column/2013/11/18/9.php

 


<著者プロフィール>

村形氏写真.jpg 

村形 聡


税理士法人ゼニックス・コンサルティングCEO

株式会社エム・ソリューション代表取締役 

慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士、税理士。


大手監査法人にて銀行、証券会社、専門商社、製造業、ホテル業、建設業、ゴルフ場など幅広い分野にわたる会計監査に従事するかたわら、株式公開支援業務として様々な業種に対するコンサルティング業務にも従事。独立後は、「会社を元気にする税理士」として税理士業務を主軸としながら、ベンチャー企業の経営コンサルティング業務、M&A支援コンサルティング、企業のターン・アラウンドに関するコンサルティング業務、最近ではマーケティングに関するコンサルティングにも力を注いでいる。


税理士法人ゼニックス・コンサルティング

http://www.xenix.com/


村形聡氏ブログ

http://ameblo.jp/xenix/

 

最新刊「社長のための「非常識な会計」のルール」ご案内

http://www.mng-ldr.com/recommen/2013/09/09/post-18.php

 

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