コラムBOX

2013年08月12日

中小企業が目指す「CSR報告書」の形とは?

中小企業のための「会社を強くするCSR」講座 第7回

中小企業が目指す「CSR報告書」の形とは?

中小企業が目指す「CSR報告書」の形とは?
プロに聞く、「CSR報告書」の今年のトレンド
6月の株主総会の時に発行されることが多いCSR報告書。大手企業各社の「CSR報告書」が揃い、2013年の傾向(トレンド)も見えてきました。
では、中小企業が世の中に発表すべきCSRの形とは何か、毎年大手企業60社近くの「CSR報告書」の制作をしている、シータス&ゼネラルプレス CSR革新室の黒井さんに話を聞いてみました。
 
シータス&ゼネラルプレス CSR革新室 黒井理恵さん
「デジタル化」と「対話」が進む
ここ数年のトレンドの一つは「デジタル化」。5、6年言い続けられてきましたが、やっと整理されてきた感じがします。大手企業の一部は世の中に報告したい内容が多くなってきたためにデジタルコンテンツをメインとし、紙の報告書はダイジェスト版として割り切る形が出てきました。ただ、まだ多くの企業は紙が基本で、詳細はWebという形が多いです。
もう一つのトレンドは、「対話」です。
ステークホルダーダイアログやステークホルダー・エンゲージメントなど、座談会形式の対話を開催し、発信する企業が出てきました。そもそもCSRとは社会の声を聴くことを重要視しています。有識者や、NGO/NPO、有志の社員との対話を行うことで、そこから出てきた意見などから自社の改善点の発見・洗い出しをし、また、知らない分野の知見を深めることで新しいビジネスチャンスへと発展させることができます。
昨年度は、ISO26000(※)の中核主題の一つである、「人権」をテーマにするところが多かったようです。人権というと日本ではなじみが薄いですが、例えば工場でのトイレ時間強制や、薬品を使用する工程でのマスクや手袋なしの労働環境なども人権の文脈で語られることが多く、海外では非常に注目されています。対話の中では、そういった「人権」の考え方について有識者から意見をもらい、自社の人権リスクが議題としてあがっていたとのことでした。
これらの対話は、ビジネス上初めてのことやわからないことを有識者に「教えて!」という気持ちで行っており、ダイアログなどは企業にとって有意義だと思います。
他に、「ワークライフバランス」「ダイバーシティー」を題材に社員数人を集めた対話なども行われていたようです。対話によって意識を深めることと、参加していない人への理解共有、社外へのアピールなどが目的とされています。
(※)国際標準化機構(ISO)が、組織の社会的責任に関して検討しているガイドライン規格。
社内の論理だけでなく、社会の声を取り入れよう
「CSR報告書」のガイドラインを提唱しているGRI(オランダに本部を置くNGO団体)では、マテリアリティ(重要課題の選定)を重要視しています。自社では何を大切にして企業活動をしていくかを、自社の都合だけで決定していくのではなく、ステークホルダーとの対話により、社会の声を踏まえた重要度選定をすることは極めて大切なことです。
対話は企業にとって「関係ないこと」ではなく「自分たちの力になること」です。中小企業でも、社内の論理だけでなく社会の声を取り入れるためにも、ぜひ「対話」にチャレンジしてほしいと思います。そして、その内容を報告書やWeb上で発信していくことで、自社の力になるCSR活動となります。例えば、自社製品の購入者が主婦ならば、主婦を集めたダイアログを行うことで、自社の取り組みの改善点などが見えてくる場合もありますし、主婦の気持ちを汲み入れている企業というアピールにもなるのです。
◆中小企業も「CSR報告書」を作ってみよう!
「CSR報告書」は、大企業だけが作るものと思われがちですが、中小企業こそ、必要なのかもしれません。「CSR報告書」をまとめることは、広報として自社を説明し正確に伝えるためのツールの一つになります。整理された情報をすぐに出せること、社員がちゃんと理解し返答できることは企業としての信頼にもつながります。
特にデザインや印刷に凝る必要もありませんし、ページ数も多くはいりません。もちろん、専任者を付けたり、その人が生産性の低いことに時間を割くことに抵抗があると思います。ただ今回報告書を作成すれば、翌年からはそれを更新する作業になりますので大幅に取られる時間は少なくなると思います。
では、肝心の内容をどうするか。
下記の内容をまとめれば出来上がりです。
○会社概要
○社長挨拶
○企業理念
○事業概要と経緯
○ISO26000※における7つの中核課題に対して、今年度実績と次年度の予定
(組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者に関する課題、コミュニティ参画および開発)
○地域貢献や社会貢献活動など
まとめてみると、何があって何が足りないかもわかるはずです。
自社Webで記載しているから大丈夫ではなく、資料としてすぐに活用ができることが大事です。自社を正確に伝えるための武器として、「CSR報告書」を作ってみることをお勧めします。

 

著者:河内山信一(こうちやま しんいち)

株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ 代表取締役

ファンドレイザー(日本ファンドレイジング協会 准認定ファンドレイザー)

 


 

プロに聞く、「CSR報告書」の今年のトレンド

 

6月の株主総会の時に発行されることが多いCSR報告書。大手企業各社の「CSR報告書」が揃い、2013年の傾向(トレンド)も見えてきました。


では、中小企業が世の中に発表すべきCSRの形とは何か、毎年大手企業60社近くの「CSR報告書」の制作をしている、株式会社シータス&ゼネラルプレス CSR革新室の黒井さんに話を聞いてみました。

 

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シータス&ゼネラルプレス CSR革新室 黒井理恵さん


「デジタル化」と「対話」が進む

ここ数年のトレンドの一つは「デジタル化」。5、6年言い続けられてきましたが、やっと整理されてきた感じがします。大手企業の一部は世の中に報告したい内容が多くなってきたためにデジタルコンテンツをメインとし、紙の報告書はダイジェスト版として割り切る形が出てきました。ただ、まだ多くの企業は紙が基本で、詳細はWebという形が多いです。


もう一つのトレンドは、「対話」です。

ステークホルダーダイアログやステークホルダー・エンゲージメントなど、座談会形式の対話を開催し、発信する企業が出てきました。そもそもCSRとは社会の声を聴くことを重要視しています。有識者や、NGO/NPO、有志の社員との対話を行うことで、そこから出てきた意見などから自社の改善点の発見・洗い出しをし、また、知らない分野の知見を深めることで新しいビジネスチャンスへと発展させることができます。


昨年度は、ISO26000(※)の中核主題の一つである、「人権」をテーマにするところが多かったようです。人権というと日本ではなじみが薄いですが、例えば工場でのトイレ時間強制や、薬品を使用する工程でのマスクや手袋なしの労働環境なども人権の文脈で語られることが多く、海外では非常に注目されています。対話の中では、そういった「人権」の考え方について有識者から意見をもらい、自社の人権リスクが議題としてあがっていたとのことでした。


これらの対話は、ビジネス上初めてのことやわからないことを有識者に「教えて!」という気持ちで行っており、ダイアログなどは企業にとって有意義だと思います。


他に、「ワークライフバランス」「ダイバーシティー」を題材に社員数人を集めた対話なども行われていたようです。対話によって意識を深めることと、参加していない人への理解共有、社外へのアピールなどが目的とされています。


(※)国際標準化機構(ISO)が、組織の社会的責任に関して検討しているガイドライン規格。

 

 

社内の論理だけでなく、社会の声を取り入れよう

「CSR報告書」のガイドラインを提唱しているGRI(オランダに本部を置くNGO団体)では、マテリアリティ(重要課題の選定)を重要視しています。自社では何を大切にして企業活動をしていくかを、自社の都合だけで決定していくのではなく、ステークホルダーとの対話により、社会の声を踏まえた重要度選定をすることは極めて大切なことです。


対話は企業にとって「関係ないこと」ではなく「自分たちの力になること」です。中小企業でも、社内の論理だけでなく社会の声を取り入れるためにも、ぜひ「対話」にチャレンジしてほしいと思います。そして、その内容を報告書やWeb上で発信していくことで、自社の力になるCSR活動となります。例えば、自社製品の購入者が主婦ならば、主婦を集めたダイアログを行うことで、自社の取り組みの改善点などが見えてくる場合もありますし、主婦の気持ちを汲み入れている企業というアピールにもなるのです。

 


◆中小企業も「CSR報告書」を作ってみよう!

「CSR報告書」は、大企業だけが作るものと思われがちですが、中小企業こそ、必要なのかもしれません。「CSR報告書」をまとめることは、広報として自社を説明し正確に伝えるためのツールの一つになります。整理された情報をすぐに出せること、社員がちゃんと理解し返答できることは企業としての信頼にもつながります。


特にデザインや印刷に凝る必要もありませんし、ページ数も多くはいりません。もちろん、専任者を付けたり、その人が生産性の低いことに時間を割くことに抵抗があると思います。ただ今回報告書を作成すれば、翌年からはそれを更新する作業になりますので大幅に取られる時間は少なくなると思います。


では、肝心の内容をどうするか。

下記の内容をまとめれば出来上がりです。

 

CSR報告書.png

 

まとめてみると、何があって何が足りないかもわかるはずです。


自社Webで記載しているから大丈夫ではなく、資料としてすぐに活用ができることが大事です。自社を正確に伝えるための武器として、「CSR報告書」を作ってみることをお勧めします。

 

 

<関連記事>

第1回 よく耳にするけど、よくわからない「CSRって何?」

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第2回 中小企業に必要なCSRの考え方とは?

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第6回 中小企業CSRの最新事例 - 後編 - 

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<著者プロフィール>


河内山信一(こうちやま しんいち)


■株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ 代表取締役

■ファンドレイザー(日本ファンドレイジング協会 准認定ファンドレイザー)


≪経歴≫

1973年生まれ 東京都出身

1997年 東洋大学経済学部卒 

1997年から2007年 株式会社スタンダード通信社。営業職。大手精密機器メーカー、大手飲料メーカー、大手金融、政府外郭団体など数多く担当。主に企業の環境コミュニケーション担当として広告企画からイベント運営まで幅広く担当。2003年に大手精密機器メーカーのCSR事業準備室の立ち上げに参加、2005年愛知万博では政府外郭団体のパビリオンのイベント運営を担当など、環境やCSR周りを主に担当。 

2007年から2012年 株式会社電通。営業職。 大手総合家電メーカーの企業環境コミュニケーションなどを担当。 

2012年3月 電通を退社。

広告代理店スキルを持って社会貢献では何ができるかを考え、ファンドレイザーを目指す。 

2012年8月 第1回日本ファンドレイジング協会准認定ファンドレイザー試験に合格。 

2012年10月 株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズを設立。 NPOなど非営利団体のファンドレイジング(資金調達)を基本としたコンサルティングを主な事業とし、企業のCSR担当者やCRM検討されている担当者に「本業に繋がるCSR」のご提案やコンサルティングも行っています。

無料相談なども行っていますのでHPから気軽にお尋ね下さい。


株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ

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