コラムBOX

2013年01月22日

「そのとき」のために知っておきたい遺言書の必要性 著者:寺島優子

「うちは関係ない」というあなたにこそ伝えたい遺言書の知識【導入編】

「そのとき」のために知っておきたい遺言書の必要性

著者: 司法書士 寺島優子

 

「そのとき」のために知っておきたい遺言書の必要性
著者:寺島優子
「うちは関係ない」というあなたにこそ伝えたい遺言書の知識【導入編】
遺言とは、自らの死後のために言い残す言葉。死は誰しも平等に訪れます。早いか遅いかはわかりません。あなたは、そのときいったい何が起きるのかを想定し、準備していますか?
遺言は一人の人間の最後のメッセージ
今回、どうして遺言が必要といわれるのか、そこをお伝えできるとよいと思って筆をとります。よく、子供のいない方は遺言を残した方がよいといわれますが、それ以外にもまだまだ遺言の必要なケースはあります。家族の形や個々の事情はさまざまで、このケース以外は大丈夫という漠たるイメージが、逆に邪魔になることがあります。遺言は一人の人間の最後のメッセージ。故人の家族の事情に合わせて考えていかなければ、本当の解決策は現れてこないのです。
遺言を書くには何を把握することが必要でしょうか。相続財産の特定、相続人の把握は最低限必要です。遺言がなかった場合の法定相続分は知っていますか?遺言でいったいどんなことが可能になるのかを知っておくことも必要です。また、何ができないのかも知らなければなりません。そこは死後に残せない問題なのですから、生前に処理しておく必要があるのです。これらの把握した事柄を、法律的に有効な遺言に残していく過程で、家族に対してどんな思いを持っているのか、もう一度振り返ってみなければなりません。
遺言がなかった場合、故人の財産は法定相続分割合で分配されます。この割合で、遺産のどの部分を誰が相続するのかは、別途相続人全員で行う遺産分割協議によることになります。
遺言書を準備するべき代表的な6つのケース
もし、下記に記したような諸事情があれば、遺言を書き残す必要があるでしょう。家族に起こったドラマを再現して、何を取り決めておくべきなのかを考えてみてください。
? 住まいは妻が亡くなるまでは分配しないでほしい
? 認知できなかった子供にせめて財産を残したい、もしくは子供を認知したい
? 障がいのある子に多く財産を残したい
? 妻とは婚姻届を出していない
? 子供のうち長男だけに会社を継がせたい
? 前妻の子供と現在の妻との間の子供との、相続分に差をつけたい
このような事情がある場合に、どうして遺言が必要になるのかを、順番に説明していきたいと思います。
? 住まいは妻が亡くなるまでは分配しないでほしい
相続財産は、故人の死後いつでも遺産分割協議をして分配することができます。しかし、財産といえば自宅と、少ない預貯金しかないケースでは、それらを公平に分配すると、妻が住み続ける家が、子供たちとの共有になるという事態が生じます。子供たちはせっかく手に入れた財産を処分して現金に換えたいと願うかもしれません。そういうときのために、遺言者(夫)は、相続が生じたときから5年間、遺産の分割を禁止することができます。
また、子供のうちの一人に自宅を残し、その他の預貯金を他の子供に残す場合、自宅を相続する子供に、妻の扶養を条件とする遺言を書いておくのも有効です。よくあるケースとして、夫の相続、妻の相続と、相続税を2段階で払うのを避けるために、妻ではなく子供に自宅を相続させ、名義がない妻が自宅から追い出されることがあるのですが、この場合も、遺言で妻の扶養を条件とする旨を明記しておけば、子供への相続を取り消すことができたのです。
? 認知できなかった子供にせめて財産を残したい、もしくは子供を認知したい
非嫡出子(婚姻外の子供)を生前に認知する場合、家族の理解が得られないことは多いです。戸籍に記載されることに抵抗があるでしょうし、認知した子にも遺産を分配する必要が出てくるからです。しかし、たとえ認知ができなかったとしても、遺言で財産を残すことができます。この場合、争いを防ぐために、遺産の何分の一というようなあいまいな決め方はせず、渡す財産を特定して、その後の協議が不要となる方法で贈与するのがいいのではないかと思います。必ず実行されるように遺言執行者(*1)を指定しておくのも有効です。
また、生前は配偶者の手前、認知を言い出せなかったとしても、遺言で認知することは可能です(ただし、亡くなったあとにトラブルを持ち越すことになるのは避けられません)。
(*1)遺言執行者とは、相続開始後、遺言内容を実現する人をいう。遺言書に書かれている内容・趣旨にそって、相続人の代理人として相続財産を管理し、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つ。遺言執行者は、遺言で指定される場合と、家庭裁判所により選任される場合とがある。
? 障がいのある子に多く財産を残したい
障害のある子供を抱える親が遺言を書く場合には、遺産分割協議を不要とする遺言を書くことをお勧めします。遺産分割協議をする意思能力がないと、後見人を選任しなければならず、選任された後見人が親族後見人で、相続人にもあたる場合には、協議のために別途特別代理人を選任する必要があり、裁判所の手続きに数か月を要するからです。
残された子供が今まで通りの生活を続けるために必要なことはなんでしょうか。
家を残すことが必要なのであれば、家を相続させ、他の相続人にはその他の財産を相続させるようにします。施設に入っていて住まいには困らないのであれば、現金や預貯金を多めに残すようにします。遺産の分配割合が他の子供たちの遺留分を侵害する場合には、生前によく説明して遺留分減殺請求権(他の相続人や第三者に侵害されたうち、最低限保証された相続分を取り戻す権利のこと)を行使しないようにしてもらうか、遺留分の放棄をしてもらいます。せっかく預貯金や現金を渡しても、その子に自分で財産の管理ができないのであれば、成年後見制度の利用や、地域の社会福祉協議会が行っている財産管理の手伝い等が必要になってくるでしょう。
そのほか、身の回りのことを親身になってくれる相談相手はいるでしょうか。他の子供が面倒を見てくれるのであれば、その、他の子供に多く財産を残し、条件として、障害のある子供の扶養をお願いするようにしておくといいでしょう。このようなケースでは家族で事前によく話し合っておく必要があると思います。
? 妻とは婚姻届を出していない
事実婚の妻は、相続人ではないため相続分がありません。相続人が誰もおらず、特別縁故者と裁判所に判断されれば、遺産を取得できる可能性がありますが、あまりにも不安定な身分です。この場合は遺言で財産を贈与しておく必要があります。
特に借家住まいの方に気を付けていただきたいのは、借り主としての地位は、他に相続人がいる場合、事実婚の妻では承継できません。そこで、賃借権(賃貸借契約に基づき、賃借人が契約の目的物を使用・収益する権利、この事例の場合は、借家を使用する権利をいう)を遺言によって贈与することで、相続権がない事実婚の妻でも安心して住み続けることができるようになります(このとき、賃借権の無断譲渡はできないので、事前に賃し主に承諾を取っておく必要があります)。
そもそも、事実婚の妻は、相続人が承継した賃借権を援用して(本来の借り主ではないが、相続人の取得した当該借り主としての権利を、自分のために主張して利用すること)、住み続けることは可能です。しかし、その場合、借り主はあくまで相続人なので、相続人が家賃を支払わないでいると、事実婚の妻は追い出されてしまいます。援用できる権利では、不安定なのです。
? 子供のうち長男だけに会社を継がせたい
長男だけに会社を継がせたいケースでは、株式が法定相続分に則って公平に分配されてしまうと、会社の支配権は一か所に集中しなくなってしまいます。会社の承継がスムーズに進まないと、会社の存続自体も危ぶまれる事態に陥りかねません。株主総会で取締役が選ばれるので、後継者だけを決めておけばよいわけではないのです。
株式の承継にこだわる子供がいるのであれば、議決権のない優先配当株式(*2)を残すなどの工夫が必要です。株式以外の財産が少ないために相続財産の公平な分配ができない場合には、遺留分減殺請求権を行使される可能性が生じます。その場合には、生前によく説明して、遺留分の放棄をしておいてもらう等の、措置を講じる必要が出てきます。
会社の存続にとって必要な資産(工場、敷地、店舗)も、相続人の共有にすべきではないでしょう。それらを担保にした事業資金の融資を受けにくくなるからです。
(*2)普通株式に比べて、利益の配当あるいは残余財産の分配、あるいは両方について優先的に受ける、という性格を備えた株式。
? 妻の子供と現在の妻との間の子供との、相続分に差をつけたい
離婚して、親権をとらなかった子供であっても、相続人の身分は失われません。相続分の割合は、現在の婚姻で生まれた子供と同じです。違いがあるとすれば、現在の婚姻の子供たちは、妻の相続によって、妻の相続分も後々承継することができますが、前妻には相続権がないため、前婚の子供たちには妻の相続分を承継することができない点です。そのため、最終的な相続分割合に差がついて不公平と感じるのであれば、遺言で調整するしかありません。また、もし前婚の子供に財産を渡したくないのであれば、遺留分減殺請求されるのを加味して、相続割合を決めればよいのです。
特に困るのは親権をとらなかったので相続人ではないと考え、遺言も書かないときです。前婚と現在の婚姻で、家族が仲良く遺産分割協議できるのは稀なので、相続はまさしく“争族”と化してしまいます。
最後に、遺言に家族へのメッセージを書いても、法律上の効力が生じるわけではありませんが、遺言の執行はあくまで故人の遺志を尊重する目的でなされるものですので、メッセージなどから、故人が何に配慮して遺言を書いたのかがはかられるというメリットがあります。メッセージがあれば遺産の分配について、家族の理解も得られやすいでしょう。また、財産のことだけではなく、家族への最後の思いやりの言葉等もぜひ書いていただきたいと思います。
<著者プロフィール>
 
寺島優子(てらしま ゆうこ)
■ALIVE司法書士事務所 司法書士
(登録番号1813神奈川県司法書士会所属)
(簡裁訴訟代理業務認定第1001224号)
TEL:044-201-6972
FAX:044-201-6973
ALIVE司法書士事務所URL:http://office-alive.net/
【毎月第2日曜日に無料相談会を開催しています】
1月20日(日) 10:30?16:30「遺言・相続について」
2月10日(日) 10:30?16:30「金銭トラブル(借金・貸金返還・家賃滞納な
ど)について」
3月10日(日) 10:30?16:30「遺言・相続について」
会場:南足柄市女性センター会議室1(伊豆箱根鉄道大雄山線「大雄山駅」徒歩30秒)
問い合わせTEL:044‐201-6972 司法書士 寺島優子宛
※問い合わせ時に、?ご希望の時間帯 ?お名前 ?お電話番号をお知らせください。

「うちは関係ない」というあなたにこそ伝えたい遺言書の知識【導入編】


遺言とは、自らの死後のために言い残す言葉。死は誰しも平等に訪れます。早いか遅いかはわかりません。あなたは、そのときいったい何が起きるのかを想定し、準備していますか?

 

□遺言は一人の人間の最後のメッセージ

今回、どうして遺言が必要といわれるのか、そこをお伝えできるとよいと思って筆をとります。よく、子供のいない方は遺言を残した方がよいといわれますが、それ以外にもまだまだ遺言の必要なケースはあります。家族の形や個々の事情はさまざまで、このケース以外は大丈夫という漠たるイメージが、逆に邪魔になることがあります。遺言は一人の人間の最後のメッセージ。故人の家族の事情に合わせて考えていかなければ、本当の解決策は現れてこないのです。

 

遺言を書くには何を把握することが必要でしょうか。相続財産の特定、相続人の把握は最低限必要です。遺言がなかった場合の法定相続分は知っていますか?遺言でいったいどんなことが可能になるのかを知っておくことも必要です。また、何ができないのかも知らなければなりません。そこは死後に残せない問題なのですから、生前に処理しておく必要があるのです。これらの把握した事柄を、法律的に有効な遺言に残していく過程で、家族に対してどんな思いを持っているのか、もう一度振り返ってみなければなりません。

 

遺言がなかった場合、故人の財産は法定相続分割合で分配されます。この割合で、遺産のどの部分を誰が相続するのかは、別途相続人全員で行う遺産分割協議によることになります。

 

□遺言書を準備するべき代表的な6つのケース

もし、下記に記したような諸事情があれば、遺言を書き残す必要があるでしょう。家族に起こったドラマを再現して、何を取り決めておくべきなのかを考えてみてください。

 

1. 住まいは妻が亡くなるまでは分配しないでほしい

2. 認知できなかった子供にせめて財産を残したい、もしくは子供を認知したい

3. 障がいのある子に多く財産を残したい

4. 妻とは婚姻届を出していない

5. 子供のうち長男だけに会社を継がせたい

6. 前妻の子供と現在の妻との間の子供との、相続分に差をつけたい

 

このような事情がある場合に、どうして遺言が必要になるのかを、順番に説明していきたいと思います。

 

1. 住まいは妻が亡くなるまでは分配しないでほしい

相続財産は、故人の死後いつでも遺産分割協議をして分配することができます。しかし、財産といえば自宅と、少ない預貯金しかないケースでは、それらを公平に分配すると、妻が住み続ける家が、子供たちとの共有になるという事態が生じます。子供たちはせっかく手に入れた財産を処分して現金に換えたいと願うかもしれません。そういうときのために、遺言者(夫)は、相続が生じたときから5年間、遺産の分割を禁止することができます。

 

また、子供のうちの一人に自宅を残し、その他の預貯金を他の子供に残す場合、自宅を相続する子供に、妻の扶養を条件とする遺言を書いておくのも有効です。よくあるケースとして、夫の相続、妻の相続と、相続税を2段階で払うのを避けるために、妻ではなく子供に自宅を相続させ、名義がない妻が自宅から追い出されることがあるのですが、この場合も、遺言で妻の扶養を条件とする旨を明記しておけば、子供への相続を取り消すことができたのです。

 

2. 認知できなかった子供にせめて財産を残したい、もしくは子供を認知したい

非嫡出子(婚姻外の子供)を生前に認知する場合、家族の理解が得られないことは多いです。戸籍に記載されることに抵抗があるでしょうし、認知した子にも遺産を分配する必要が出てくるからです。しかし、たとえ認知ができなかったとしても、遺言で財産を残すことができます。この場合、争いを防ぐために、遺産の何分の一というようなあいまいな決め方はせず、渡す財産を特定して、その後の協議が不要となる方法で贈与するのがいいのではないかと思います。必ず実行されるように遺言執行者(*1)を指定しておくのも有効です。

 

また、生前は配偶者の手前、認知を言い出せなかったとしても、遺言で認知することは可能です(ただし、亡くなったあとにトラブルを持ち越すことになるのは避けられません)。

 

(*1)遺言執行者とは、相続開始後、遺言内容を実現する人をいう。遺言書に書かれている内容・趣旨にそって、相続人の代理人として相続財産を管理し、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つ。遺言執行者は、遺言で指定される場合と、家庭裁判所により選任される場合とがある。

 

3. 障がいのある子に多く財産を残したい

障害のある子供を抱える親が遺言を書く場合には、遺産分割協議を不要とする遺言を書くことをお勧めします。遺産分割協議をする意思能力がないと、後見人を選任しなければならず、選任された後見人が親族後見人で、相続人にもあたる場合には、協議のために別途特別代理人を選任する必要があり、裁判所の手続きに数か月を要するからです。

 

残された子供が今まで通りの生活を続けるために必要なことはなんでしょうか。

 

家を残すことが必要なのであれば、家を相続させ、他の相続人にはその他の財産を相続させるようにします。施設に入っていて住まいには困らないのであれば、現金や預貯金を多めに残すようにします。遺産の分配割合が他の子供たちの遺留分を侵害する場合には、生前によく説明して遺留分減殺請求権(他の相続人や第三者に侵害されたうち、最低限保証された相続分を取り戻す権利のこと)を行使しないようにしてもらうか、遺留分の放棄をしてもらいます。せっかく預貯金や現金を渡しても、その子に自分で財産の管理ができないのであれば、成年後見制度の利用や、地域の社会福祉協議会が行っている財産管理の手伝い等が必要になってくるでしょう。

 

そのほか、身の回りのことを親身になってくれる相談相手はいるでしょうか。他の子供が面倒を見てくれるのであれば、その、他の子供に多く財産を残し、条件として、障害のある子供の扶養をお願いするようにしておくといいでしょう。このようなケースでは家族で事前によく話し合っておく必要があると思います。

 

4. 妻とは婚姻届を出していない

事実婚の妻は、相続人ではないため相続分がありません。相続人が誰もおらず、特別縁故者と裁判所に判断されれば、遺産を取得できる可能性がありますが、あまりにも不安定な身分です。この場合は遺言で財産を贈与しておく必要があります。

 

特に借家住まいの方に気を付けていただきたいのは、借り主としての地位は、他に相続人がいる場合、事実婚の妻では承継できません。そこで、賃借権(賃貸借契約に基づき、賃借人が契約の目的物を使用・収益する権利、この事例の場合は、借家を使用する権利をいう)を遺言によって贈与することで、相続権がない事実婚の妻でも安心して住み続けることができるようになります(このとき、賃借権の無断譲渡はできないので、事前に賃し主に承諾を取っておく必要があります)。

 

そもそも、事実婚の妻は、相続人が承継した賃借権を援用して(本来の借り主ではないが、相続人の取得した当該借り主としての権利を、自分のために主張して利用すること)、住み続けることは可能です。しかし、その場合、借り主はあくまで相続人なので、相続人が家賃を支払わないでいると、事実婚の妻は追い出されてしまいます。援用できる権利では、不安定なのです。

 

5. 子供のうち長男だけに会社を継がせたい

長男だけに会社を継がせたいケースでは、株式が法定相続分に則って公平に分配されてしまうと、会社の支配権は一か所に集中しなくなってしまいます。会社の承継がスムーズに進まないと、会社の存続自体も危ぶまれる事態に陥りかねません。株主総会で取締役が選ばれるので、後継者だけを決めておけばよいわけではないのです。

 

株式の承継にこだわる子供がいるのであれば、議決権のない優先配当株式(*2)を残すなどの工夫が必要です。株式以外の財産が少ないために相続財産の公平な分配ができない場合には、遺留分減殺請求権を行使される可能性が生じます。その場合には、生前によく説明して、遺留分の放棄をしておいてもらう等の、措置を講じる必要が出てきます。

 

会社の存続にとって必要な資産(工場、敷地、店舗)も、相続人の共有にすべきではないでしょう。それらを担保にした事業資金の融資を受けにくくなるからです。

 

(*2)普通株式に比べて、利益の配当あるいは残余財産の分配、あるいは両方について優先的に受ける、という性格を備えた株式。

 

6. 妻の子供と現在の妻との間の子供との、相続分に差をつけたい

離婚して、親権をとらなかった子供であっても、相続人の身分は失われません。相続分の割合は、現在の婚姻で生まれた子供と同じです。違いがあるとすれば、現在の婚姻の子供たちは、妻の相続によって、妻の相続分も後々承継することができますが、前妻には相続権がないため、前婚の子供たちには妻の相続分を承継することができない点です。そのため、最終的な相続分割合に差がついて不公平と感じるのであれば、遺言で調整するしかありません。また、もし前婚の子供に財産を渡したくないのであれば、遺留分減殺請求されるのを加味して、相続割合を決めればよいのです。

 

特に困るのは親権をとらなかったので相続人ではないと考え、遺言も書かないときです。前婚と現在の婚姻で、家族が仲良く遺産分割協議できるのは稀なので、相続はまさしく“争族”と化してしまいます。

 

最後に、遺言に家族へのメッセージを書いても、法律上の効力が生じるわけではありませんが、遺言の執行はあくまで故人の遺志を尊重する目的でなされるものですので、メッセージなどから、故人が何に配慮して遺言を書いたのかがはかられるというメリットがあります。メッセージがあれば遺産の分配について、家族の理解も得られやすいでしょう。また、財産のことだけではなく、家族への最後の思いやりの言葉等もぜひ書いていただきたいと思います。

 

 

<関連コラム>

「遺言の効力 」 -遺言書が無効に!? それってなぜ?-

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<著者プロフィール>

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司法書士 寺島優子

神奈川県司法書士会第1813 

簡裁訴訟代理業務認定第1001224

 

寺島司法書士事務所 

〒259-0123

神奈川県中郡二宮町二宮1324番地1 1階

TEL 0463-79-8697

 

 

 

 

 

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