コラムBOX

2012年12月26日

中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第4回  法人導入におけるハードル 著者:田邉弘美

タブレット端末を企業で有効活用するための導入の仕方について専門家が解説

 オリンピックで活躍した全日本女子バレーボールチームの眞鍋監督が試合中にタブレット端末を利用して作戦を立てていたのを覚えている方もいらっしゃると思います。


 アナリストと呼ばれるデータ解析のプロが試合中の決定率やミスの内容などを、データ通信を利用して眞鍋監督のタブレット端末に送り込みます。監督は、そのデータを見ながら自分の感覚と合わせて作戦を立てていたということです。


 以前では考えられなかった手軽さで、タブレット端末はスポーツの世界にまで進出しているのです。


 普段の生活でも、電車の移動中、多くの乗客が携帯電話(スマートフォン)を操作しています。最近ではタブレット端末を利用している人の割合も多くなったとお気付きではないでしょうか。


 実際のところ、大企業を中心に、従業員にタブレット端末を支給する会社が増えています。


 私たちも「タブレット端末は仕事に使えるのか?」と質問されることは少なくなりました。


 中小企業さまでも導入を検討する会社は多くなり、導入方法についての説明にうかがうことが増えています。


 おうかがいして、主な機能や特徴、導入事例などをお話しすると、


「動画も撮れるのなら、社員のインタビュー動画などを入れた会社案内もできるね」
「報告書が作成できれば、PCを使うために会社に戻らなくてもよくなる」
「カタログの差し替えもすごく楽になりそう」
「図面なども持ち運びが楽になるし、コピーの手間もなくなるな」


 など、その場で自社の業務に置き換えて、いろいろなアイデア/ニーズをお聞きすることができます。


 全てのアイデアが正解です。


  業務効率は上がりますし、プレゼンの訴求力もパワーアップします。合わせてコストダウンにもなります。


 いいことばかりなので、導入しない理由はないように思えます。


 ところが、案外と即導入にはなりません。


 というのは、法人で使用する場合は、2つのハードルがあるからです。


 私たちはここをよく知っているので、安易に導入をすすめません。

 

【ハードル1】新しいことへの拒否反応


 パソコンに慣れた人は、タブレット端末ではキーボード操作がしにくく、細かい作業ができないのではないかとお考えです。実は、この考え方は間違っていたり、時代遅れでもありません。キーボードに慣れた人は、タッチパネルだとタイピングが遅くなります。この場合は、外付けのキーボードを使用する必要があります。そうすると持ち運びはウルトラブック(軽量、薄型パソコン)と同じではないかという話になります。


 もっと単純に、これまでと違うというだけで不安になる人もいます。


 流行しているからタブレット端末を使うというのではなく、業務効率が上がりコストダウンになることを十分に検討してからの導入が必要です。


 私どもでは、事前の研修を受けていただいています。その上で、「これなら使える」と社内の意識を統一してから導入していただければ定着がスムーズになります。

 

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【ハードル2】ルールの策定


 個人利用であれば、ニーズにあったアプリを探していろいろと試してみることができますが、法人利用では、もう少し検討すべき課題が残っています。


 たとえば、カタログアプリを使う場合でも、1人の営業マンが使う場合と20人の営業マンが共有して使いたい場合では、商品の選定基準が変わってきます。


 アプリ自体はそれほど高額ではありませんので、とりあえず使ってみてダメだったら別のアプリということもできますが、法人全体の場合はコスト負担も増えますし、何より社内に混乱を招きます。


 大勢が共有するときは、データベースとの連携が必要になります。カタログデータをそれぞれの端末に配信する機能がそろっていない場合は、20台にカタログ データをセットする手間を考えると、担当者の新たな負担となり得ます。


 個人使用であれば比較的ハードルの低い次の事項も、法人での導入の場合、あらかじめ導入後の問題を解消しておくことは大切です。


 では、どのような問題があり、解消するために何を考えればいいのかということをお話しします。


 ポイントは3つです。

 

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必要な準備


 紙のカタログを電子化するケースについてお話しします。

 紙のカタログを原本にする場合は、あらかじめスキャナーなどで電子化したり、電子データであっても利用するカタログアプリで使える形式に変換する作業が必要です。


 利用する素材がある程度確定した段階で、原本やデータでの保存状況などを確認しておきましょう。


 カタログを作成してくれた会社に、デジタルデータが残っていることもあります。デジタルデータを取り寄せれば、変更にも対応しやすくなり、何よりスキャンよりもきれいなデータになります。


 これまでのカタログのデジタルデータがない場合は仕方がありませんので、これから作成する場合は、タブレット端末の仕様を前提としたデータ納品をお願いするようにしてください。


どう使うのか


 商談コーナーに設置する場合などは、複数人で同一端末を共有する運用になりますし、各営業担当者が専有端末を1台ずつ利用する場合など、端末の運用方法もあらかじめ想定しておきましょう。


 加えて、夜間の保管場所(充電場所)、アプリのバージョンアップ対応など、「個人に任せること」「担当者を決めて任せること」を決めておくことも重要です。


 せっかく準備してプレゼンに臨んでも、電池切れでは笑えません。また、持ち運びのときに紛失や破損させてしまうこともあります。


 このような場合にどう対応するのかを決めておく必要があります。


安全は


 個人情報保護法の施行から、どの企業でももっとも神経質になり、注意を払っているところです。


 セキュリティに関しては、


 ・ 共有するデータの保存ルール
 ・ 社外に持ち出す場合のルール
 ・ 持ち出しデバイスに保管する情報のルール


 など、自社の情報セキュリティについても考慮することが必要です。


 これらのルールがあれば、それに対応した方法での運用/アプリを選定するか、ルールがない場合でもある程度の基準を社内的に整備すべきだと思います。


 タブレット端末は、端末を利用する際に必ずパスワードの入力を促す「パスコードロック」といわれる機能も標準で備えてありますので、第三者の不正利用を防止する比較的簡単な導入ツールとして利用できます。


 この点は、すでにパソコンも持ち出しと運用方法のルールがあるのなら、同じ基準に沿うことができると思います。


..........................................


 タブレット端末は個人利用が先行しているため、比較的簡単な導入を想像してしまいがちですが、法人で利用する場合はこれらのことを組織で取り組んでいただければと思っています。


 よくあるのが、個人利用で慣れた人を導入の担当者にしたものの、導入してみると高機能だけど操作が複雑なアプリを導入していたり、複数人で使用する際の問題を想定できていなかったということです。


 慣れた人の意見を聞くことは大切です。一方で、全く不慣れな人でもタブレットを使いこなせないと会社としての成果を出すことはできません。


 弊社では、導入前に複数の方々の意見を聞きながら、その企業に合ったタブレット導入の企業支援を行っています。


 ご質問などありましたら、ホームページのお問い合わせ画面よりご連絡ください。


 

 

*記事内に記載した会社名、製品名などは各社の称号、商標、または登録商標です。

 

(この記事は2012年12月26日公開のものです)

 

 

 

【記事執筆】

 田邉弘美

 (タクト情報システムズ株式会社 代表取締役、タブレット企業導入コンサルタント) 

 

 


【関連記事】

 ⇒ 中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第1回 タブレットはパソコンよりも使いやすい?

 ⇒ 中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第2回 目的を与えられないタブレット端末は引き出しの中へ(1)

 ⇒ 中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第2回 目的を与えられないタブレット端末は引き出しの中へ(2)

 ⇒ 中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第3回 素人の声が大きなアイデアにつながる 

 

<著者プロフィール>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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田邉弘美(たなべ ひろみ)

 ■タクト情報システムズ株式会社 代表取締役
■タブレット企業導入コンサルタント


大手電機メーカーにてオフコン基本ソフトの開発/技術計算プロジェクトなどを担当。

1987年、タクト情報システムズ株式会社を設立。
企画からプロジェクト管理、運用支援まで幅広い分野をサポートする会社として、創業以来多くの企業へシステムを納入。高い技術力と豊富な知識で、クライアントさまの企業発展に貢献できるシステムづくりをモットーとしている。
2010年スマートタブレットの発売と同時に、自社製品の販売や結婚式場、生命保険、住宅業界などへの導入実績がある。これらの経験を元に、独自の「タブレット導入事例セミナー」「iPad活用セミナー」など、セミナー活動、導入コンサルタントとして活躍中。


タクト情報システムズ株式会社

http://www.tact-info.co.jp/

 

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