コラムBOX

2012年12月07日

広報活動の真の担い手は総務部門である 著者:小島一郎

モチベーションアップの新手法! 総務部門による「広報活動」のススメ 第3回

総務部門の広報活動こそが企業風土を作る

 

総務部門の広報活動といっても、社内報の制作くらいしか浮かばない方もいるかと思います。

 

それも、テレビの取材クルーに対応するような派手な広報活動をイメージすると、どうも末席の地味なものに思ってしまう方もいるでしょう。確かに、広告プロモーションと同じような外部への発信という観点で広報を見た場合、社内報などによるインナーコミュニケーションは地味な脇役と捉えられてしまいます。

 

しかし、広報を広告の代わりではなく、「自社を評価させ、それを従業員に実感させる活動」と捉え直してみましょう。そう(再)定義した場合に、広報活動の真の主役は、みなさん総務部門であることにお気付きになると思います。

 

広報の質=露出量、メディアでの掲載ボリュームではない。従業員のモチベーションアップへの貢献だと捉えたとき、総務部門だから担える広報活動こそが、質を決定付けることになるのです。


外部からの評価を気付かせる活動

 

私がご提案したいのは、総務部門による「(外部)評価」の関係者への周知活動です。

 

「社長のインタビュー記事が◯◯新聞で紹介されました」。

 

広報担当者がパブリシティーを獲得したときに、社内への共有をするのが通例です。

 

しかし、それで終わりになっている企業が多いのです。

 

インタビュー記事が出た際に、なぜそのことが記事になったのか?なぜ、記者は原稿にある内容を聞いたのか?なぜ社長はわざわざ話をしたのか?

 

メディアの後ろには、読者や視聴者という記者にとってのお客さまがいます。記者はお客さまに価値のある記事というプロダクトを生産しています。その記事の中で、なぜインタビューが選ばれたのか。そもそもどうして、当社をインタビューしようと思ったのか。記者はなぜ、他ではなく当社を注目したのか。

 

それはすなわち、記者からの評価を示しています。

 

ところが、記事が出たという事実の意味を、きちんと当事者に伝えていない広報担当者が少ないことに驚きます。まるで、自分の力で、記事を書かせたかのような手柄を吹聴する方すらいるほどです。

 

本当にそれは、広報担当者の成果なのでしょうか?評価されるべきは広報担当者なのでしょうか?

 

実際の現場で価値を作り出している人たちに、スポットライトが当たった意味をきちんと伝えて、喜ばす活動をすることこそ、インナーコミュニケーションではないでしょうか?

 

社内報に「社員のAさんが結婚しました。Bさんに子供が生まれました」を伝えるのもインナーコミュニケーションを促進する上で意味がありますが、メディアから紹介されましたも加えたらどうでしょうか?

 

そして、その「評価された意味」をきちんと伝えて、称えることが、従業員の自己実現欲求を満たすことになるのです。それは、マイナーな専門媒体に出ようが、メジャーなTV番組に出ようが変わりません。メジャーなTV番組で紹介されれば、その「スゴさ」がわかりやすいでしょうが、専門媒体には深い専門性に基づいた知見があります。知見のある記者、媒体が評価をしたことを伝え、認識してもらうことは従業員のモチベーションアップにつながります。

 

大切なのは、従業員のモチベーションアップ、士気の向上です。

 

自分たちが当たり前だと思ってやっていることが「こだわり」として紹介される。社内では当たり前のことが、優れた点として読者に伝える価値があるとメディアから注目され、記事になった。この事実を伝えて、従業員がその価値に気付くことで、当たり前に取り組んでいることへの姿勢は確実に変わります。士気が高まるのです。

 

広報活動でモチベーションアップを

 

広告費をたくさん使い、TVコマーシャルを大量に投入しても、認知度は高まりますが、社会的な評価は変わるものではありません。自分で自分のことをカッコつけてたくさん話したところで、話したことによってその人の知られていなかった面が伝わることがない限り、まず評価は変わりませんよね?

 

去、ある時期にTVコマーシャルを大量に流した業種がありましたが、その業界の従業員のロイヤリティー(忠誠心)が高まり、離職率が低下したという話は聞いたことがありません。筆者は、多額な広告費のほんの一部だけでも、違った形で広報活動に使っていたら従業員の満足度が変わっていったのではないかと考えています。

 

大量の広告(露出)より、ほんの3行の記事の方が、従業員のモチベーションアップにつながることはあります。記事が出たとき、その意味することを気付かせてあげる活動。インナーコミュニケーションを支える総務部門だからこそ担いたい、重要な広報活動の役割です。


一歩踏み込んで、外部に売り込んでみよう

 

1、友達にメディア担当者はいませんか?

 

メディアと直接やり取りしていない総務部門にいると、外部に売り込むことはためらわれるかもしれません。しかし、自分の身近な人のツテをたどると、メディア関係者がいるということはあるものです。一度、自分の友達にメディアの知り合いがいないか聞いてみてください。昔の学校の同級生が記者になっているかもしれません。

 

2、地元のメディアにアプローチしてみよう


そうはいっても、友人の輪にメディア担当者がいない場合、メジャーなメディアばかりが対象になるわけではないことは前述の通りです。地元のケーブルテレビ局などに、仕事っぷりがよい従業員がいたら、その人の人となりや趣味なども合わせて、紹介してみてはいかがでしょうか?記者の方は常にネタを探しているものです。意外に、面白いと興味を持ってくれるかもしれません。自分たちが想像していなかった「魅力」を発見してくれるかもしれません。

 

3、総務スタッフが得意な表彰制度の活動を広報目的で行おう

 

そもそも周りにメディアがいない。知り合いも少ないという方もいらっしゃるかと思います。そういう方には、総務部門のスタッフが得意とする国の制度利用をおすすめします。

 

広報を「外部から評価をさせる」活動と捉えた場合、国や自治体から「表彰してもらう」ことも新しい広報活動といえます。会社の取り組みを評価させ、表彰されることで、従業員のモチベーションアップは確実に高まっていくことでしょう。

 

 

【国や自治体による表彰制度の一例】
・ファミリーフレンド企業表彰(厚生労働省、仕事と育児を両立できる体制を構築している企業を表彰)
・健康寿命をのばそう!アワード(厚生労働省、従業員の健康形成に取り組んでいる企業を表彰)
・北海道チャレンジ企業表彰(北海道、北海道活性化に貢献した中小企業を表彰)
(筆者作成)

 

 

広報活動をする上では、総務部門が普段から意識して自社の売りを見つけていくことが大事です。会社としてどうきちんと運営していくかを考えていると、外からの悪い評価をいかに受けないかに注意が向き、自社の悪い点ばかりに目が行きがちになることもあるかと思います。弱点の補強、危機への備えは総務部門が担うべき役割ですが、強みを見つけて、外部に売り込む。そして、その評価を直接フィードバックすることで、従業員を喜ばせる。そんな活動をすることで、総務部門の業務がより楽しくなるのではないでしょうか。

 

 

(この記事は2012年12月7日公開のものです)

 

 

【記事執筆】

小島一郎

株式会社分析広報研究所

代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト

 

 

【関連記事】

⇒ モチベーションアップの新手法! 総務部門による「広報活動」のススメ 第1回「会社の知名度だけで従業員のモチベーションは上がらない」

⇒ モチベーションアップの新手法! 総務部門による「広報活動」のススメ 第2回「メディアに大きく取り上げられることだけが素晴らしいのか?」

 

 

 

<著者プロフィール>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

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 小島一郎

 ■株式会社分析広報研究所

代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト

 

東京都出身。1997年上智大学卒。大手証券会社系シンクタンクにて小売・専門店・外食等のBtoCビジネスの成長企業調査を行う証券アナリストを経験(日経金融、エコノミスト誌の人気アナリストランキングでの実績あり)、事業を外部から評価、発掘するノウハウを培った後、事業会社に転身。不動産、ゲーム、ネットサービスの上場企業にて、PR・IRを行い、企業の中から外部に対して評価を得るための発信、関係構築を担う。また事業会社では、社長室の責任者として、経営企画や内部統制等、企業の中から外からの評価を得るに足る企業・事業を作るための実務を多岐に渡り経験。

2012年独立。株式会社分析広報研究所 代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト。コーポレートインテリジェンス等を活用し、クライアントの評価を作り出す独自のコミュニケーション手法によって、メディアや従業員等の内外からのクライアント評価改善実績を重ねている。
プライベートでは小学生1年生の息子との野球とアート鑑賞が趣味。東京育ちながらも阪急ブレーブス時代からのオリックスファン。

 

 

株式会社分析広報研究所HP http://sememasu.com/
感想、お問い合わせ等は info@sememasu.com へ。

 

 

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