コラムBOX

2012年12月06日

メディアに大きく取り上げられることだけが素晴らしいのか? 著者:小島一郎

モチベーションアップの新手法! 総務部門による「広報活動」のススメ 第2回

そもそも広報とはどういうもの?

 

広報とはPublic Relationsを訳した言葉で、企業や団体が活動内容や商品などの情報を発信することをいいます。広義では、広く(主に外部との)コミュニケーション全般を意味します。従業員や株主、顧客(消費者)、取引先、地域社会などステークホルダーに対して、自社を理解してもらう目的で行う活動です。

 

広告と混同されることもありますが、広告が新聞や雑誌、テレビなどの広告枠を買って、(有料で)商品や企業に関する情報を発信するのに対し、広報は自社が発信した情報を受け取った新聞や雑誌などメディアが記事として取り上げるため、情報掲載に費用がかからないなどの違いがあります。ちなみに、IRとはInvestor Relationsの略で、投資家向けの情報発信全般を指し、手段としての広告、広報どちらも含みます。

 

企業が広告費を抑制している近年、お金がかからずに認知度を高めることができる手段として、広報に注目が集まっています。これは、PR代理店がクライアントに自らの活動を、広告費換算で報告することが一般化してくる中で、定着していった考え方です。

 

広報のお金がかからない点が注目されすぎている

 

しかし、広報が「お金がかからない」「安くできる広告」として注目されすぎてしまったがために、広告との根本的な違いが見落とされるようになってしまいました。

 

その違いとは、広告は自社自身が発するメッセージであり、広報による露出は第三者の記者による見解であるということです。

 


<広報と広告の比較>

広報広告比較.png

 

 

メディアが取り上げるということは、その情報が注目に値するとメディアが評価したことを意味しています。この「評価」という観点で見た場合、「大きい紙面で取り上げられると、広告費換算で高額になる。よって、より大きい紙面での掲載が、より素晴らしい」という一般に浸透した考え方とは異なる、広報の新たな価値に気付くことができます。

 

マズローの欲求5段階説においては、自己実現欲求(創造的活動。自分の仕事、自社の事業が外部から評価された状態)の方が、自我の欲求(認知欲求。自分、自社の存在が知られている。認知度がある)よりも高次と扱われています。

 

不祥事を防止するのはシステムではない

 

筆者は上場会社で、たった一人で内部統制を担当し、J-SOX対応を行った経験があります(しかも広報などの他業務を多数兼任・管掌という状態でした)。

 

J-SOXにしても、ISO、プライバシーマーク(Pマーク)にしても、監査法人や認証機関などの外部から、評価を得る必要があります。このため、評価する側にとって必要な証拠などを不備なく提供するためのシステム構築が必要になり、この構築にかかる負担が経営の重荷になっている事例も少なくありません。しかし、多大な費用を負担し、認証を受けたところで、オリンパス事件のような企業不祥事が後を立たないのも事実です。

 

一方で、J-SOX対応をしていない非上場企業やISO、Pマークを取得していない企業で、不祥事と無縁な素晴らしい運営をしている企業も多数存在しています。

 

実際のJ-SOXの実務を、上場企業で責任者として行って、監査法人から不備なしの意見を毎回得ていた筆者は、実体験をもとに、内部統制等の運営システムの品質確保は、結局、事業プロセスごとのシステムではなく、その土台となっている企業風土をいかに作り上げるかにかかっていると声を大にして申し上げたいです。

 

では、よい企業風土とはどのようなものによって出来上がるのでしょうか?

 

その答えこそ、自己実現ができる環境であり、その重要な要素は、広報によって実現できるのです。

 

 

第3回では、総務部門だからこそできる広報活動と、その具体的な手法について紹介します

 

(この記事は2012年12月6日公開のものです

 

【記事執筆】

小島一郎

株式会社分析広報研究所

代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト


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モチベーションアップの新手法! 総務部門による「広報活動」のススメ 第1回「会社の知名度だけで従業員のモチベーションは上がらない」

 

株式会社分析広報研究所

 

代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト

 

<著者プロフィール>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

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 小島一郎

 ■株式会社分析広報研究所

代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト

 

東京都出身。1997年上智大学卒。大手証券会社系シンクタンクにて小売・専門店・外食等のBtoCビジネスの成長企業調査を行う証券アナリストを経験(日経金融、エコノミスト誌の人気アナリストランキングでの実績あり)、事業を外部から評価、発掘するノウハウを培った後、事業会社に転身。不動産、ゲーム、ネットサービスの上場企業にて、PR・IRを行い、企業の中から外部に対して評価を得るための発信、関係構築を担う。また事業会社では、社長室の責任者として、経営企画や内部統制等、企業の中から外からの評価を得るに足る企業・事業を作るための実務を多岐に渡り経験。
2012年独立。株式会社分析広報研究所 代表取締役 チーフパブリックリレーションズアナリスト。コーポレートインテリジェンス等を活用し、クライアントの評価を作り出す独自のコミュニケーション手法によって、メディアや従業員等の内外からのクライアント評価改善実績を重ねている。
プライベートでは小学生1年生の息子との野球とアート鑑賞が趣味。東京育ちながらも阪急ブレーブス時代からのオリックスファン。

 

 

株式会社分析広報研究所HP http://sememasu.com/
感想、お問い合わせ等は info@sememasu.com へ。

 

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