コラムBOX

2012年09月25日

中小企業のための「失敗しないタブレット端末活用法」 第1回 タブレットはパソコンよりも使いやすい? 著者:田邉弘美

タブレット端末を企業で有効活用するための導入の仕方について専門家が解説

 

 鉄腕アトムがアニメの中で携帯電話を使用していたシーンが現実になると思う人は多くなかったと思います。
 その後、「みんなを電話にする会社」というキャッチコピーが話題になりました。
 1995年にPHS事業を行うNTTパーソナル(98年NTTドコモに事業譲渡、現在は清算されている)がとんねるずを起用してTV CMなども流していたので、記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれません。

 

 いまだに私の印象として強く残っている理由は、「そんな時代って本当に来るのかなぁ?」と否定的な印象だったためです。
 もっと、正直にいうと「あり得ないなぁ」というくらい想像できない世界でした。
今では考えられませんが、テレホンカードがノベルティなどで配られて、たいへん喜ばれていた時代です。
 少しずつ、自動車電話が普及し始めたとはいえ、士業の方や一部の会社役員の人たちが社用車に導入していたに過ぎず、大きさ/価格面からも、まだまだ一般の人が導入するにはほど遠い印象でした。

 

 

 携帯電話の普及率を図に示します。


田邉氏コラム1図表縮小.jpg

 

 

 96年から97年にかけて急激な伸びを記録していることがわかるかと思います。
 実に、先のCMから5年後には75%以上の人が、現在に至っては94%以上の人が利用していることになります。

 

 そして、本当にみんなが電話を持つ時代がやってきました。

 

 公衆電話がそこそこ整備され、ときどき不便を感じることはあっても、携帯電話を必然とするまでのニーズがなく、技術的なバックボーンが見えていなかった私には、描けなかった未来だった気がします。

 

 

「魔法のような革新的なデバイス」
 これはiPadが登場したときのキャッチコピーの一つです。

 

 

「誰にでも使える」
 これを目指したデバイスは、確実に働く人々のスタイルを変えつつあります。

 

 

 電話では予想できなかった将来像ですが、ITの現場でお客さまのニーズを聞いたり、システム開発を請け負う経験から、「これは、確実に革命を起こすぞ!」とワクワクした自分がいました。

 

 発売から2年が経ちますが、PCとの違いを明確に定義できず、用途を見いだせない方やMicrosoftのOffice製品が使えないことなどを理由に、利用について消極的な(または否定的な)意見を聞くことがあります。

 

 確かに、PCでも動画は見られるし、インターネットにもつながる。
 最近では、どんどん小型軽量化になり、持ち運びにも適した機種も多く見られます。
 PCの代替機として考えた場合、その優位性を比較するには飛び抜けた違いは見られないのかもしれません。

 

 Apple社のキャッチコピーにあるように、iPadは、PCが基礎として作り上げたニーズを別の角度から支援するデバイスとして登場したのではなく、新しいライフスタイルを提供するデバイスとして登場させました。
 ここに注目することで、本当の利用シーンや活躍場所などが見いだせるのではないかと思っています。

 

 「誰にでも使える」のコンセプトは、PCをメイン業務での仕事のツールとはしていない営業職や現場、役職などの比較的高齢の方々の多くを動かし、どんどん、その利用場所やユーザーを増やしています。
 PCが苦手な人こそ、iPadを使用するメリットがあります。

 

 

「誰にでも直感的に使えるために」
・指を触れるというタッチパネルを採用したこと
・ユーザーインターフェースにこだわり、マニュアルが不要というまで徹底したこと

 

 

 これらがユーザーから見た場合の大きな差別化になっていると思います。

 

 たとえば、画像などの表示サイズを大きくするという操作も、タッチパネルの採用で、二本の指を画面に載せ、指と指の間隔を広げることで拡大表示する(ピンチアウトと呼ばれる)など、人の感覚に近い操作を取り入れることで、多くのキーボード操作の苦手な人も扱いやすいデバイスとして受け入れられている理由になっています。

 

 

 現場でこんなお話をうかがいました。
「それまで、PCを持ち込んで役員に渡しても絶対に見てくれなかったのに、iPadを渡したところ、自分で操作してくれました」
 確かに、キーボードを人前で打つのに抵抗のある方も多いはず。

 

 そして、先日ある動画で3、4歳くらいの男の子が、絵本(紙です)を読んでいる風景の画像を見ました。
 すると、その子が突然、本の上で2本の指をピンチアウト。
 きっと、大きな絵で見たかったのでしょうね。
 もちろん、iPadを使った経験のある子だとは思うのですが、人の動作と、やりたいことがしっかりとマッチしているとこうした癖が出てしまうのかもしれません。

 

 開発者の立場になりますが、Apple社では、このようなユーザーインターフェースへのこだわりをアプリケーション作成のための「ガイダンス」として用意しています。
 いくつかをご紹介します。

 

 

●簡単でわかりやすい使い方にする
●ユーザー中心の言葉遣いを使用する
●ユーザーに要求される入力の手間を最小限にする
●一貫性を保ってUI要素を使用する
●質感とリアルさの追加を検討する
●魅力的なグラフィックスでユーザーを楽しませる

 

 

 この中の
●質感とリアルさの追加を検討する
については、Apple社製の「ガレージバンド」や「ボイスメモ」などのアプリケーションで、ピアノやマイクなどのグラフィックに見られるように本物のリアルさをトコトン追求した秀作とされています。

 

 このように、アプリケーションを提供する側にも自社のポリシーをしっかり準拠してもらう。こうした徹底が、製品のコンセプトをより強力なものにしている要因となっています。

 

 

 Appleと顧客は
 シンプルで精錬され、
 クリエィティブなインターフェース
 に価値を置く。
 これは手間ではあるが意味がある。
 Appleは基準を高く持っており
 アプリのインターフェースが複雑であったり
 クオリティが低い場合はリジェクトされる。
 (Apple社 アプリ審査基準からの一部抜粋)

 

 

 タブレットとPCは、まったく異なるデバイスとして捉え、利用者、利用シーンに応じた導入を検討すべきものと考えています。

 

 デスクワークの多い職場であれば、タブレットの導入はほとんど考えなくてもよいのかもしれません。
 ただ、外出先、移動中の時間の有効活用、現場での使用など、今までPCが入り込めていない時間帯や作業場所などがあれば、その活用方法を探る選択肢として、タブレットの検討は多いに意味があるものだと思います。

 

 
 

 第1回は、タブレットは、PCの代用ではないというお話をしました。

 

 

 

 ⇒ 中小企業のための失敗しない「タブレット端末活用法」 第2回 目的を与えられないタブレット端末は引き出しの中へ(1)

 

 


(この記事は2012年9月25日公開のものです)

 

 

【記事執筆】

 田邉弘美

 (タクト情報システムズ株式会社 代表取締役、タブレット企業導入コンサルタント) 

 

 

 

━<著者プロフィール>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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田邉弘美(たなべ ひろみ)

 

■タクト情報システムズ株式会社 代表取締役
■タブレット企業導入コンサルタント

 

大手電機メーカーにてオフコン基本ソフトの開発/技術計算プロジェクトなどを担当。

1987年、タクト情報システムズ株式会社を設立。
企画からプロジェクト管理、運用支援まで幅広い分野をサポートする会社として、創業以来多くの企業へシステムを納入。高い技術力と豊富な知識で、クライアントさまの企業発展に貢献できるシステムづくりをモットーとしている。
2010年スマートタブレットの発売と同時に、自社製品の販売や結婚式場、生命保険、住宅業界などへの導入実績がある。これらの経験を元に、独自の「タブレット導入事例セミナー」「iPad活用セミナー」など、セミナー活動、導入コンサルタントとして活躍中。

 

 

タクト情報システムズ株式会社

 http://www.tact-info.co.jp/

 


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