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2013年07月12日

商標登録の必要性とよくある勘違い

正しい商標登録の知識で、自社商品・サービス名称を守りましょう。

商標登録の必要性とよくある勘違い


正しい商標登録の知識で、自社商品・サービス名称を守りましょう。


タイトル:商標登録の必要性とよくある勘違い
概要  :正しい商標登録の知識で、自社商品・サービス名称を守りましょう。
■そもそも商標とは?
商標とは、自分と他人との商品やサービスを区別するためにつける名称やマークのことです。
商標として認められるのは、
・文字(商品・サービス名などの文字列)
・図形(マークなど商品・サービスを図案で表したもの)
・文字と図案との組み合わせも可
・記号(社標<ロゴ>など)
・立体的な形状(例えば、容器、キャラクター等の立体物)
同一名称を防止するために「商標」とは別に「商号」というものがあります。商号は「法人(会社)などの正式名称であり、同一市町村区では同じ商号は使用(登記)出来ません。一旦登記すれば会社が存続する限り永遠に使用できますが、保護範囲は市町村区内のみです。そのため会社名(法人名)として登記している商号を商標登録している会社も多数あります。商号は同じ名前であっても同一市町村区以外であれば原則、複数の会社が登記できますが、商標は同じ名前を同一区分<商品区分もしくは役務(サービス)区分>で日本国内で1社しか登録できません。
■なぜ商標登録をする必要があるのでしょう?
お客様は、商品名又はサービス名を見て商品又はサービスを選択しているはずです。つまり、商品名、ブランド名、ロゴマーク等を手がかりにして商品又はサービスを識別しています。例えば、ラーメン店で有名な”大勝軒”。元祖の”大勝軒”は商標登録しませんでした。このため、有名な”大勝軒”の評判にあやかろうと、多くの人が勝手に使い始めてしまいました。商標権を登記登録していれば、勝手に登録商標を使っているとして使用を中止させたり、損害賠償を請求したりできます。
このように商品名、ブランド名、マーク、キャラクターを第三者が勝手に利用するのを防ぐ意味で商標登録をおこない、知的財産権を確立しておく必要があります。
また「商標」は全国(日本国の主権の及ぶ全地域)で有効ですが、登記登録申請費用の他に10毎年毎に更新料を支払って維持する必要があります。
■よくある勘違い(ケーススタディ)
飲食関連のP社から、商標に関する質問を受けました。
「インターネット検索したら、商標登録出願したい商標”ABC”と同じ名前が出てきたのですが、商標登録できますか?」。
詳しく聞いてみますと、衣料品の名前で商標”ABC”を見つけたようですが、P社は飲食の店舗名”ABC”を使いたいとのことです。
<勘違い:その1>
×商標権が、すべての商品・役務(サービス)に及ぶ
商標登録を受ける際には、登録を受ける商標を特定し、さらに、商品・役務(えきむ:サービス)の指定をしなければなりません。商標法では、商品が1類?34類(区分)に、役務が35類?45類(区分)に分けられています。仮に衣料品関連で既に商標”ABC”が登録されていても、飲食のサービスとは区分が異なるため、商標登録できる可能性があります。
<勘違い:その2>
×インターネットで検索されなければ、商標登録されていない
インターネット検索することは重要ですが、商標登録されているだけで使われていない、もしくはインターネット検索では出てこない商標はたくさんあります。登録されている登録商標を調査しなくてはなりません。
今回P社の件で、登録商標を実際に調査してみますと、飲食サービスに関してZ社が登録商標”ABC”を取得していました。登録商標”ABC”は、2010年1月に出願され2010年7月に登録されていました。
<勘違い:その3>
×すでに商標登録されている同業種の名称でも、これまで使用してきた実績があれば商標登録ができないだけで、名称を使用し続けることができる
商標登録出願より早く商標を店舗名で使っていますと、その店舗名は『先使用権』を主張できる可能性があります。しかし、裁判例では、一般的に認知されているレベルでないと『先使用権』が認められません。
日本では、基本的に先に使用したものが権利を認められる先使用主義ではなく、先に出願したものが権利を認められる先願主義が取られています。そのため、商標登録で権利を取った方が勝ちと言えます。
今回の事例でも、P社は「飲食店の店舗名として“ABC”を10年以上使用して、○△市では有名です。飲食店舗名として”ABC”を商標登録できないことはわかりましたが、うちは店舗名”ABC”を早くから使っているからこのまま使い続けて大丈夫。」と思っていました。
しかし、2?3の市町だけで有名ぐらいでは『先使用権』は認められませんので、P社がこのまま”ABC”という店舗名を使い続けると、Z社から店舗名の使用を止めるように警告されるかもしれません。最悪の場合は、損害賠償請求をされる可能性もあります。
<勘違い:その4>
×すでに登録されている商標は、取消しを請求することはできない 登録商標は、登録してから3年を過ぎても商標権者(又はライセンスを受けた人)が使用していなければ、登録されている商標を取り消す請求をすることができます。
Z社の登録商標”ABC”についても、登録してから3年(2013年7月)を過ぎてもZ社が登録商標”ABC”を使っていなかったらZ社の登録商標を取り消すことができます。1か月後にZ社が商標を使っていないようでしたら、Z社の登録商標を取り消し、P社が商標”ABC”を取得することができます。
■結論(まとめ)
以上、簡単にご説明したように、あるサービス業で店舗名を決めても、既に商標登録されていたら使用することができません。また、新しい商品の商品名を登録しないと、他社が先に同じ商品で同じ商標を取得してしまうことがあります。このため、店舗名や商品名、サービス名などを決める際は事前に弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。
<プロフィール>
顔写真 
つなぐナビ登録士業
弁理士 伊藤 信和
〒102-0083 東京都千代田区麹町3-5-2 BUREX麹町
諏訪坂特許商標事務所
Tel: 03-5213-5413
Fax: 03-4496-4746
Email: info@itopto.com
HP: http://www.itopto.com/
これまで日本企業の知的財産部で約11年間、大手外資企業の知的財産部で約5年間、社内弁理士として特許などの知的財産の仕事に携わってきました。中小企業が元気にならないと日本経済は良くならないと大学教授から激励され、約7年前に企業を辞めて独立しました。
主に、店舗等の商標登録出願や、機械・電気などのメカトロニクス関連の特許出願をしています。また、商標権・特許権の移転・ライセンス等、発明に関する社内規程の作成など、知的財産を幅広くサポート作成しています。さらに税関の専門委員として、模倣品などの輸入差止を決めるお手伝いをしています。
<コラム執筆協力>
士業・経営者・起業家を全力でサポートし、人脈をつなぐサイト
つなぐナビ
http://www.tsunagu-navi.com/

■そもそも商標とは?

商標とは、自分と他人との商品やサービスを区別するためにつける名称やマークのことです。


商標として認められるのは、


・文字(商品・サービス名などの文字列)

・図形(マークなど商品・サービスを図案で表したもの)

文字と図案との組み合わせも可

・記号(社標<ロゴ>など)

・立体的な形状(例えば、容器、キャラクター等の立体物)


同一名称を防止するために「商標」とは別に「商号」というものがあります。

 

商号は「法人(会社)などの正式名称であり、同一市町村区では同じ商号は使用(登記)出来ません。一旦登記すれば会社が存続する限り永遠に使用できますが、保護範囲は市町村区内のみです。

 

そのため会社名(法人名)として登記している商号を商標登録している会社も多数あります。商号は同じ名前であっても同一市町村区以外であれば原則、複数の会社が登記できますが、商標は同じ名前を同一区分<商品区分もしくは役務(サービス)区分>で日本国内では1社しか登録できません。

 


■なぜ商標登録をする必要があるのでしょう?

お客様は、商品名又はサービス名を見て商品又はサービスを選択しているはずです。つまり、商品名、ブランド名、ロゴマーク等を手がかりにして商品又はサービスを識別しています。

 

例えば、ラーメン店で有名な”大勝軒”。元祖の”大勝軒”は商標登録しませんでした。このため、有名な”大勝軒”の評判にあやかろうと、多くの人が勝手に使い始めてしまいました。商標権を登録していれば、勝手に登録商標を使っているとして使用を中止させたり、損害賠償を請求したりできます。


このように商品名、ブランド名、マーク、キャラクターを第三者が勝手に利用するのを防ぐ意味で商標登録をおこない、知的財産権を確立しておく必要があります。


また「商標」は全国(日本国の主権の及ぶ全地域)で有効ですが、登録申請費用の他に10年ごとに更新料を支払って維持する必要があります。

 


■よくある勘違い(ケーススタディ)

飲食関連のP社から、商標に関する質問を受けました。


「インターネット検索したら、商標登録出願したい商標”ABC”と同じ名前が出てきたのですが、商標登録できますか?」


詳しく聞いてみますと、衣料品の名前で商標”ABC”を見つけたようですが、P社は飲食の店舗名”ABC”を使いたいとのことです。

 


<勘違い:その1>

×商標権が、すべての商品・役務(サービス)に及ぶ


商標登録を受ける際には、登録を受ける商標を特定し、さらに、商品・役務(えきむ:サービス)の指定をしなければなりません。商標法では、商品が1類?34類(区分)に、役務が35類?45類(区分)に分けられています。

 

仮に衣料品関連で既に商標”ABC”が登録されていても、飲食のサービスとは区分が異なるため、商標登録できる可能性があります。

 


<勘違い:その2>

×インターネットで検索されなければ、商標登録されていない


インターネット検索することは重要ですが、商標登録されているだけで使われていない、もしくはインターネット検索では出てこない商標はたくさんあります。登録されている登録商標を調査しなくてはなりません。


今回P社の件で、登録商標を実際に調査してみますと、飲食サービスに関してZ社が登録商標”ABC”を取得していました。登録商標”ABC”は、2010年1月に出願され2010年7月に登録されていました。

 


<勘違い:その3>

×すでに商標登録されている同業種の名称でも、

これまで使用してきた実績があれば商標登録ができないだけで、

名称を使用し続けることができる


商標登録出願より早く商標を店舗名で使っていますと、その店舗名は『先使用権』を主張できる可能性があります。しかし、裁判例では、一般的に認知されているレベルでないと『先使用権』が認められません。


日本では、基本的に先に使用したものが権利を認められる先使用主義ではなく、先に出願したものが権利を認められる先願主義が取られています。そのため、商標登録で権利を取った方が勝ちと言えます。


 今回の事例でも、P社は「飲食店の店舗名として“ABC”を10年以上使用して、○△市では有名です。飲食店舗名として”ABC”を商標登録できないことはわかりましたが、うちは店舗名”ABC”を早くから使っているからこのまま使い続けて大丈夫。」と思っていました。


しかし、2-3の市町だけで有名ぐらいでは『先使用権』は認められませんので、P社がこのまま”ABC”という店舗名を使い続けると、Z社から店舗名の使用を止めるように警告されるかもしれません。最悪の場合は、損害賠償請求をされる可能性もあります。

  


<勘違い:その4>

×すでに登録されている商標は、取消しを請求することはできない

登録商標は、登録してから3年を過ぎても商標権者(又はライセンスを受けた人)が使用していなければ、登録されている商標を取り消す請求をすることができます。


Z社の登録商標”ABC”についても、登録してから3年(2013年7月)を過ぎてもZ社が登録商標”ABC”を使っていなかったらZ社の登録商標を取り消すことができます。1か月後にZ社が商標を使っていないようでしたら、Z社の登録商標を取り消し、P社が商標”ABC”を取得することができます。

 

 


■結論(まとめ)

以上、簡単にご説明したように、あるサービス業で店舗名を決めても、既に商標登録されていたら使用することができません。また、新しい商品の商品名を登録しないと、他社が先に同じ商品で同じ商標を取得してしまうことがあります。

 

このため、店舗名や商品名、サービス名などを決める際は事前に弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。


 


<プロフィール>

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つなぐナビ登録士業

弁理士 伊藤 信和

 

連絡先:

〒102-0083 東京都千代田区麹町3-5-2 BUREX麹町

諏訪坂特許商標事務所

Tel: 03-5213-5413

Fax: 03-4496-4746

Email: info@itopto.com

HP: http://www.itopto.com/

 

自己紹介:

これまで日本企業の知的財産部で約11年間、大手外資企業の知的財産部で約5年間、社内弁理士として特許などの知的財産の仕事に携わってきました。中小企業が元気にならないと日本経済は良くならないと大学教授から激励され、約7年前に企業を辞めて独立しました。


主に、店舗等の商標登録出願や、機械・電気などのメカトロニクス関連の特許出願をしています。また、商標権・特許権の移転・ライセンス等、発明に関する社内規程の作成など、知的財産を幅広くサポート作成しています。さらに税関の専門委員として、模倣品などの輸入差止を決めるお手伝いをしています。


<コラム執筆協力>

士業・経営者・起業家を全力でサポートし、人脈をつなぐサイト

「つなぐナビ」

http://www.tsunagu-navi.com/

 

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