実務BOX

2012年10月17日

企業における総務部の仕事(6) 社葬の手引き

企業に必ずありながら、その業務範囲や仕事の内容は企業によってさまざまな役割を持つ総務部門。企業・組織における「総務」とは?総務の仕事の内容について解説していきます。

 

 ここでは、総務部門の重要な業務の一つ、社葬について見ていきます。いざというときのために平常時の備えが大切。まずは、社葬取扱規定について紹介します。


社葬取扱規定

 

 企業の経営や発展に貢献した人が亡くなったときに、全社で行う葬儀が社葬です。社会的に影響力のある企業であればあるほど、世間からの注目も集まります。故人の死を悼み、生前の業績をたたえ、その遺志をきちんと継承していくことを、多くの人に示す大切な場ですから、企業にとっては今後の経営存続にもかかわる、失敗の許されない大きな行事だといえます。

 

 ですが、当然ながら訃報は突然訪れます。いざというとき冷静に判断できるよう、日頃からの備えが何よりも大切です。特に、社葬で重要になるのが「社葬取扱規定」で、年に1回は見直し、現状に合わせた整備をする必要があります。平常時にしっかり準備しておきましょう。

 

 

〈社葬取扱規定に盛り込むべきこと〉

 

(1)社葬の定義......たとえば「社業に多大な功績を残した人が死亡したときに社葬を全社的に行う」など、その企業での社葬の定義を総則として決めておきます。

 

(2)社葬実施の決定者......社葬を実施する際、たとえば「取締役会」がその権限を持つなど、誰が決定するのかを明確にしておきます。

 

(3)社葬の名称......「株式会社○○○社葬」など、社葬の名称を規定しておきます。

 

(4)執行範囲の基準......この基準は、企業の諸規定への常備が定められているわけではありませんが、取締役会規定などがある場合にはその中に規定化しておくとよいでしょう。事前に執行範囲の基準があれば、取締役会ではそれに沿って決めることができ、会議もスムーズになります。社葬の対象者は会長や社長だけではなく、一般の社員であっても会社への貢献度により対象になる場合があります。

 

(5)費用の基準......社葬のレベルを設定し、どこまでの費用を企業側が負担するのかを規定化しておきます。たとえば、死亡時から葬儀終了までの全額、社葬当日の費用、戒名や布施またはそれに類するものを除いた費用、などです。

 

(6)葬儀委員長と葬儀委員......社葬で葬儀委員長や葬儀委員は誰が務めるのか、規定化しておきます。さらに、それぞれの役割について、その責務を明記しておきます。特に、葬儀委員長は社葬の最高責任者で、当日は式次第の中心的存在となります。亡くなったのが会長や役員の場合、通常は社長が選ばれます。

 

(7)葬儀実行委員長と葬儀実行委員......社葬で葬儀実行委員長および葬儀実行委員は誰が務めるのかについて規定しておき、それぞれの職務について明記します。葬儀実行委員長については、日頃から経営トップの補佐として従事していることもあり、ほとんどの場合、総務部長が選任されます。

 

(8)社業の休務について......社葬当日が企業の営業日である場合のことを想定し、当日の社業は「特別の場合を除き休務とする」などの一文を入れておきましょう。

 

(9)服装について......葬儀委員長の場合は、モーニングを着用することもあるため、社葬当日の服装について明記しておきます。

 

(10)社葬取扱規定のおよぶ期間......この社葬取扱規程はいつから適用され、管理しているのは誰かについて明記しておきましょう。

 

社葬取扱規定(ひな型).docx

 

その他、平常時にしておきたいこと

 


〈名簿や連絡網の整備〉

 

 急の訃報では、誰に伝え、どの範囲まで伝えるべきか、冷静に対処することが難しくなります。慌てることのないよう、平常時に関係者名簿を整理しておきましょう。取引先や社長、役員別に整理し、中には優先的に素早く連絡しなければいけない人もいるため、重要度別にグループ分けしておくとスムーズに連絡をすることができます。ただし、社葬の前に密葬を執り行うケースも多いため、その場合は外部へ情報が流出しないよう、適切な対応が求められます。

 

 

〈葬儀社選び〉

 

 可能であれば、平常時に葬儀社数社と会い、企業のイメージを崩さずに社葬が行える葬儀社を選定しておくとよいでしょう。社葬は、家族葬とは異なり規模が大きくなります。経験と実績のある葬儀社を選んでおいた方が、臨機応変な対応が望めます。
 他社の社葬に参列することがあれば、葬儀社の振る舞いなどをチェックしておくとよいでしょう。

 

 

〈社葬マニュアルの作成・整備〉

 

 社葬は企業にとって、故人を偲ぶ会であるとともに特別な行事でもあります。緊急時に社員はどう動くべきか、どのような役割が必要で、いつまでに何をすべきかなどを、きちんとマニュアル化しておくとよいでしょう。

 

 


(この記事は2012年10月17日公開のものです)

 

 


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