実務BOX

2012年10月11日

平成24年 年末調整のポイント

年末調整は給与の源泉徴収の総決算ともいうべきもので、給与所得以外に他に所得のない給与所得者にとっては、「所得税の確定申告」です。年末調整のポイントについて解説します。

 

 給与を支払う会社は、その年の最後に給与を支払うときに、年末調整を行うことが必要です。

 

 年末調整とは、給与の支払いを受ける一人ひとりについて、給与の支払いの都度源泉徴収をした税額と、その年中の給与等の総額で計算した納付すべき税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続きです。

 

 年に一回のことで忘れやすい作業かもしれませんが、11月頃から少しずつ準備を始めるとよいでしょう。

 

昨年からの主な変更ポイント

 

1. 生命保険料控除の改正

 

 一定の要件を満たした生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、支払った保険料等の金額に応じて所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といい、年末調整においても生命保険会社等が発行した証明書類を添付して提出することで控除を受けることができます。

 

 平成22年度の税制改正において生命保険料控除が改正され、 介護医療保険料控除(適用限度額4万円)が新たに設けられ、控除枠が3つになりました。また、昨年分(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)までは合計適用限度額は10万円でしたが、新契約分(平成24年1月1日以降に契約した保険契約等)から合計適用限度額が12万円(おのおのの控除の適用限度額が4万円)になりました。

 

 

【生命保険料控除に関する改正ポイント】
  年末調整_図1.png

なお、この改正は平成24年分の所得税から適用になります。

 

 

 

2. 自家用車通勤者の非課税限度額の変更

 

 自動車等の交通用具を使用して通勤する、いわゆる自家用車通勤者が受ける通勤手当は、通勤距離に応じて1か月あたり一定の金額(以下「距離比例額」という)までが非課税とされており、さらに運賃相当額が距離比例額を超える場合には、運賃相当額(最高限度:月額10 万円)までが非課税とする措置が設けられていました。

 

 この運賃相当額が距離比例額を超える場合に、運賃相当額までが非課税とされる措置が廃止になりました。このため、通勤手当の金額が距離比例額を超える場合には、その距離比例額を超える金額については課税の対象となりました。

 

 

【自家用車通勤者が受ける通勤手当に関する改正ポイント】
  年末調整_図2.png

なお、この改正は平成24年1月1日以後に受けるべき通勤手当から適用になります。

 

書類の記入時のポイント

 年末調整の書類を記入するときに、昨年と同じように書いて提出してしまう人も多いかもしれません。また、昨年のことを覚えていない人も多いかもしれません。記入を誤ると、受けられるはずであった控除が受けられず、所得税および住民税を多く納めることになってしまうので注意しましょう。

 

 大半を育児休業扱いで過ごしたようなケースでは、通常年よりも年収が少なくなっていることが考えられるため、配偶者控除や配偶者特別控除の適用もれが考えられます。

 

 給与所得者であれば、年収から65万円を差し引くことによって合計所得金額を求めることができますので、育児休業をしている期間は毎月の給与明細をきちんと保管しておいて、配偶者控除や配偶者特別控除の適否を確認しましょう。

 

学生アルバイトと扶養親族のポイント

 

 時給で働いている通常のアルバイトでは収入も少ないため、学生であれば無条件に扶養親族になると思っている人も多いのも事実です。

 

 扶養親族とは、同居、もしくは別居であっても送金を行うなどの生活費に一体性が見られる状態の親族で所得金額が38万円以下の人をいい、給与所得者であれば年収103万円以下である人をいいます。

 

 アルバイトに精を出し過ぎて年収が103万円を超えるようなケースでは、学生であっても扶養親族の対象から外れてしまいます。

 

 扶養親族の対象から外れてしまうと、扶養により控除されていた額が対象外となり、家族全体で見た場合には、税金の負担が多くなってしまうことがあります。

 

 このように年収103万円というのは、主婦だけでなく学生アルバイトでも考えないといけないラインですので注意しましょう。 

 

書類の提出時のポイント

 

 年末調整の書類を提出してしまえば、来年の年末調整まではそのままでよいや、と考えている人もいるかもしれません。

 

 年末調整は、10月下旬に「給与取得者の扶養控除等申告書」等の年末調整の書類の準備と配布をし、11月下旬に年末調整の書類回収と内容を確認する、といったスケジュールがよく見られます。

 

 提出された書類に記載されている内容に基づいて、年末調整の処理をすることになりますが、年末調整の書類を勤務先が回収したあとに扶養親族が増えたというようなケースでは、扶養親族は実態よりも少なくなっています。

 

 扶養控除の対象となる扶養親族は、その年の12月31日の現況により判定することになり、勤務先が書類を回収した日ではありません。書類回収後に出産等の年末調整の書類に影響を及ぼすような異動事項があった場合には注意しましょう。

  

年末調整の対象項目のポイント

 

 出産等のように、多額の医療費がかかった場合は医療費控除の適用が考えられます。しかし、医療費控除・雑損控除・寄附金控除の3つは年末調整では処理できないため、源泉徴収された税金が納め過ぎになっている場合には、還付を受けるための申告(還付申告)により税金が還付されます。

 

 また、住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合には、初年度は確定申告で対応することになるので注意しましょう。

 

 このように、年末調整で処理できる控除と年末調整の処理項目から外れる控除とを区分しておさえておくことも重要です。

 

 


<執筆>
仰星税理士法人 代表社員 公認会計士 草薙信久
事業会社を経て、大手監査法人に入所。その後、M&Aアドバイザリー企業、仰星監査法人を経て仰星税理士法人に入所し、代表社員に就任。現在は、国内税務業務のほか、FAS業務などに幅広く従事。
http://www.gyosei-tax.or.jp/

 

 

 

(この記事は2012年10月11日公開のものです)

PAGE TOP