実務BOX

2012年10月04日

おさえておきたい印紙税の基礎知識

印紙税を適切に納めないとどうなるか、収入印紙を間違えて貼ってしまった時の処理など、印紙税に関する基礎知識

おさえておきたい印紙税の基礎知識

 

印紙税とは、商業取引などに関連して作成される文書に課税される税金のことです。
印紙税は、印紙税法で定められた課税文書に対して課税されるもので、印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に、所定の額面の収入印紙を貼り、印章または署名で消印することによって行います。


※2014年4月14日更新


課税文書とは

 

課税文書とは、次の3つの全てに当てはまる文書をいいます。


1. 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書(※下記参照)により、証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること
2.当事者の間において、課税事項を証明する目的で作成された文書であること
3.印紙税法第5条(非課税文書)の規定により、印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと


平成26年4月1日版 印紙税額一覧表.pdf



これらの文書に該当しない限り、印紙税は課税されません。したがって、弁護士と締結する訴訟委任契約書や、労働者派遣に関する契約書などには、印紙を貼る必要はないことになります。


そして、何号文書にあたるかによって、印紙税の額が異なってきます。たとえば、よく使われる「領収書」は印紙税額一覧表の番号17の文書(17号文書)に該当しますが、売上代金の受取金額が5万円未満の場合は非課税、5万円以上100万円以下の場合には200円、100万円超200万円以下の場合には400円などと具体的に規定されています。


なお、消費税の課税事業者が作成する建物等の売買契約書、運送契約書、請負契約書、に契約金額と消費税及び地方消費税の具体的な金額が区分して記載されているときは、その消費税等相当額を除いた金額が記載金額になります。つまり、契約金額と消費税を区分しておいた方が節税につながります。


*例えば、請負契約書に請負金額1,000万円とこれに対する消費税及び地方消費税相当額80万円とが区分して記載されているときは、その請負契約書の記載金額は1,000万円となり、印紙税額は1万円となります(請負金額と消費税及び地方消費税をまとめて1,080万円の記載の場合は、印紙税額は2万円)。



契約書の定義


課税物件表には、第1号の不動産の譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、第2号の請負に関する契約書、第14号の金銭又は有価証券の寄託に関する契約書などのように「○○に関する契約書」という名称で掲げられているものが多くありますが、ここにいう契約書は、一般的に言われるものよりかなり範囲が広く、そのため、その定義について定められています(印紙税法基本通達12条、印紙税法別表第一の課税物件表の適用に関する通則の5)。


課税物件表に掲げられているこれらの契約書とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約(その予約を含みます。以下同じ。)の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実(以下「契約の成立等」といいます。)を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することになっているものも含まれます。

 

したがって、通常、契約の申込みの事実を証明する目的で作成される申込書、注文書、依頼書などと表示された文書であっても、実質的にみて、その文書によって契約の成立等が証明されるものは、契約書に該当することになります。
契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為ですから、契約書とは、その2個以上の意思表示の合致の事実を証明する目的で作成される文書をいうことになります。


また、1つの契約について、契約書を何通も作成する場合がありますが、この場合には、その全部に収入印紙を貼らなければなりません。また、「写」、「副本」、「謄本」などと表示した契約書であっても、相手方の署名又は押印のあるものや契約当事者が正本と相違ないことを証明したものは、正本と同じように収入印紙を貼らなければなりません。
単にコピーを取っておいたものは、印紙は必要ありません。


印紙税を納めないとどうなる?


この印紙をはり付ける方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
ただし、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。
また、"貼り付けた"印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。(印紙税法第20条)
なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。


さらに、印紙税を納めないと、印紙税法22条で刑事罰も規定されていますので、適切な印紙税を納付することが大切です。


<印紙税法第22条>
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1.偽りその他不正の行為により印紙税を免れ、又は免れようとした者
2.偽りその他不正の行為により第14条第1項の規定による還付を受け、又は受けようとした者
2 前項の犯罪に係る課税文書に対する印紙税に相当する金額又は還付金に相当する金額の3倍が100万円を超える場合には、情状により、同項の罰金は、100万円を超え当該印紙税に相当する金額又は還付金に相当する金額の3倍以下とすることができる。



因みに、収入印紙が貼られているか否か、消印しているか否かは税法上の問題ですので、契約自体の成立の可否には影響しません。印紙を貼らないで作成した契約書でも法律的には有効です。



収入印紙を誤って貼ってしまった時は


印紙税の納付は、課税文書の作成の時までに収入印紙をはり付け、消印することによって納付するのが原則となっています。


所定の金額を超える収入印紙を貼り付けたり、印紙税のかからない文書に収入印紙を貼り付けた場合のように、誤って納めた印紙税額は還付の対象となります。


なお、収入印紙は、印紙税のみでなく、登録免許税や国への手数料の納付などにも使用されています。したがって、例えば、登録免許税を納付するために収入印紙をはり付けたような場合には、たとえ誤ってはり付けたものであっても印紙税法による還付の対象とはなりません。


印紙税法による還付を受ける場合には、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書(見本.pdf)」に必要事項を記入のうえ、納税地の税務署長に提出します。この場合の納税地は、文書の種類や記載内容などによってそれぞれ異なる場合がありますので注意が必要です。なお、申請に当たっては、印紙税が過誤納となっている文書と印鑑、法人の場合は代表者印が必要となります(印紙税法14条、印紙税法施行令14条、印紙税法基本通達115条)。


還付される税金は、銀行口座振込あるいは郵便局を通じての送金となるため、還付金を受け取るまでに若干の日数がかかります。


(注) 収入印紙の交換制度(郵便局)
汚損し又はき損されていない収入印紙は、最寄りの郵便局で他の額面の収入印紙と交換することができます。この場合、郵便局に提出する収入印紙1枚につき5円の手数料がかかります。
なお、収入印紙を現金に交換することはできませんのでご注意ください。



判断の難しい印紙税


1.覚書、念書、差入書
念書や覚書のように、契約の成立や変更などを証明するために作成される文書は、印紙税 法上の契約書に含まれますから、その内容によっては収入印紙を貼らなければなりません。


2.土地賃貸借契約書
土地の賃貸借契約書の契約金額は、権利金、更新料その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日、返還されることが予定されていない金額のすべてをいいます。したがって、返還されることが予定されている保証金、敷金などや賃貸料は、契約金額には該当しません。


3.債務承認及び弁済契約書
金銭消費貸借契約などに基づく既存の債務金額を承認し、併せてその返還期限、返還方法などを約することを内容とする契約書は、消費貸借に関する契約書に該当します。なお、その契約書に債務金額を確定させた原契約書が他に存在することを明らかにしているときは、その債務承認金額は記載金額とはなりません。


4.貨物の保管及び荷役の契約書
物品の販売会社と運送会社との間において、物品の販売会社の所有する物品の保管及び荷役についての契約書に、保管料及び荷役料の支払方法を記載した場合には、保管についての事項は物品の寄託契約として課税事項となりませんが、荷役についての事項は請負契約となり、契約金額の記載のあるものは請負に関する契約書に、契約金額の記載のないものは継続的取引の基本となる契約書に該当します。


5.質権・抵当権の設定、または、その譲渡に関する契約書
印紙税は課税されませんので、印紙を貼る必要はありません。


6.建物賃貸借契約書または、使用貸借にかかる契約書
印紙税は課税されませんので、印紙を貼る必要はありません。


7.委任状または委任に関する契約書(例 媒介契約書・売買委託契約書)
原則として印紙税は課税されませんが、商人間の委任契約の場合は、課税か不課税の判断は難しい所です。場合によっては課税されることもあります。


8.請負契約
記載金額のない請負契約書の場合、2号文書として200円か、請負が継続しそうであるとして7号文書に該当して4,000円なのか難しいところです。
7号文書は取引の継続期間が3月を超えること。複数の取引を行うことの約束があること、その他取引の基本となることを定めているかなどで判断していきますので単発の依頼ではなく継続性がある依頼の場合には、あとで3倍の過怠税となる可能性を考慮すると4,000円にしておく方が無難であるといえます。




印紙税は判断が非常に難しい税金です。わからないときは、書類を持参して最寄りの税務署に相談するのが一番です。



 

<関連記事>

『印紙税額一覧表』(平成26年4月1日以降適用分)

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

 


<参考>

「領収証」等に係る印紙税の非課税範囲が5万円未満に拡大

(平成26年4月1日)

http://www.mng-ldr.com/business/2014/04/14/264.php


「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm


印紙税の手引き (平成25年10月版)

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/tebiki/pdf/2510inshitebiki_all.pdf


国税庁ホームページ

http://www.nta.go.jp/


 

PAGE TOP