実務BOX

2012年09月25日

企業における総務部の仕事(1) 総務部の業務範囲および人事・労務管理<採用と教育>

企業に必ずありながら、その業務範囲や仕事の内容は企業によってさまざまな役割を持つ総務部門。企業・組織における「総務」とは?総務の仕事の内容について解説していきます。

 

 

 企業組織は、その企業の事情やビジネス環境によって変わります。企業規模が拡大すれば事業も多様化し、総務の業務範囲も広がるのです。総務にはどのような業務があるのでしょうか。


昨今の特徴は業務範囲の広さ

 

 最初は一部署で事足りた総務業務も、事業が多様化し企業が大きくなれば、従業員は増え、人が増えた分だけリスクも高まり、総務部での一括管理が難しくなります。新事業を立ち上げて海外拠点を増やす、あるいは社内の情報システムを充実させなければならない、事業部が増えてイベントが増えるなど、それぞれの業務の目的も異なるため、総務部の中で人事部門、情報システム部門、広報部門など、業務は分離・独立してきました。
 このような状況を把握した上で、総務部の主な業務を挙げました(図表1)。

 

 

総務2?図表?.jpg

 

 

人事・労務管理「募集と採用」

 

 事業の発展に必要な人材の確保は、企業にとって経営戦略ともなる重要な課題です。そのため社員の募集と採用は、中期・短期の人事計画に基づいて実施されます。新卒の定期採用を行っている企業では、各部門の退職予定者数や要求人員数について、ヒアリングやアンケートを行い、人事計画と照らし合わせながら採用人数を試算します。しかし、各部門の要求を全て受け入れるのではなく、全社的に見て適正な人員配置を人事担当部署で見極めた上で決定します。
 

 

 

 採用職種と募集人数がある程度決まったら、募集活動に入ります。新卒の募集は、大学向けの求人PR、インターネットでの採用情報提供、就職情報誌などへの掲載などで展開します。ただし、就職協定の廃止で新卒採用の活動は年々早まっているため、自社が後れを取らないように他社の動向を把握し、早めに採用計画を立て、入社案内など募集・採用に関する資料は余裕をもって用意しておいたほうがよいでしょう。

 

 また、最近増えている通年採用は、現在の景気やビジネス環境に合わせて人員の調節ができ、事業拡大やグローバル化などの戦略に合わせて必要な人材を確保できるというメリットがありますが、契約社員として採用するというケースが多いため、のちのちトラブルに発展しないよう、契約の際には細かい部分まで明確に取り決めておくことが必要です。

 

人事・労務管理「社員教育」

 

 社員教育というと、「OJT」「Off・JT」「自己啓発」の3つが挙げられます。OJTは先輩や上司が直に教えるなど職場内で行う研修、Off・JTは会社主導で進める社員教育、自己啓発は個人が自主的に行うという特徴があります。

 

 たとえばOff・JTは、階層別(総務、経理、営業、販売、中堅社員等)、職種別(総務、経理、営業、販売等)、テーマ別(OA、問題解決、創造性開発等)に研修テーマを設け、集合研修や合宿研修、外部機関を利用するなどして全社的に行います。この全社的な人材育成計画を基にして体系的・継続的に教育を実施しますが、職場でしか得られない知識や技術を得るにはOJTが欠かせません。つまり、社員の能力や知識、技術の向上のためにOJTとOff・JTを連動させることが重要で、そこからさらに社員の自己啓発へとつなげていくことが理想的な流れといえます。

 

 教育研修の目的を明確にした上で、教育プログラム、対象者および教育方法や講師を決定し、終了後にはフォローアップ研修を実施しましょう。また、受講者のアンケートは今後の人材育成計画を立てる上でもっとも参考にすべき意見です。反省点を改善しつつ、より自社に合った教育方法を確立するためにもアンケートは取るようにしましょう。

 

人事・労務管理「労働時間の管理」

 

図表2_変形労働時間制.jpg 労働者の労働時間を適正に把握し、適切に管理するために、総務部は自社で働く社員の勤務時間や働き方を管理しなくてはなりません。労働基準法第32条で定められている労働時間は、休憩時間を除き1週間に40時間、1日8時間が原則です。近年は、産業構造の変化によりビジネススタイルも多様化し、変形労働時間制が導入されています(図表2※クリックで拡大します)。

 

 変形労働時間制には、1か月単位の制度、1年単位の制度があり、他にフレックスタイム制、裁量労働制などがあります。1か月単位の場合は、労使協定または就業規則などに一定事項(始業・終業時刻や休憩時間、休日等)について定めることが必要です。1年単位の場合は、労使協定で対象期間や1日の労働時間、1週間の労働時間、休日の扱いなどの事項を定め、労働基準局に届け出なければなりません。

 

 また、フレックスタイム制は出退勤の時刻を社員に委ねる制度で、就業規則などにフレックスタイム制の対象となる労働者の範囲や清算期間、1日の標準労働時間等を定めます。労使協定を締結する必要はありますが、届け出は不要です。裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、労使協定によってみなし労働時間を定めます。たとえば、みなし労働時間を8時間とした場合、その日に10時間働いた、逆に5時間しか働かなかったとしても、8時間働いたものとみなして労働時間を計算する制度です。

 

 社員を時間外、休日に労働させるときには、労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数を代表する人と書面で協定を結び、所轄労働基準局監督署に届け出なければなりません。これを「36協定」(正式名称「時間外労働・休日労働に関する協定書」)と呼びます。

 

 

(この記事は2012年9月25日公開のものです)

 

 

【関連記事】
 ⇒ 時間外・休日労働に関する協定(36協定)に定める時間外労働の限度時間

 ⇒ 企業における総務部の役割

 ⇒ 企業における総務部の仕事(2) 人事・労務管理<休暇制度と人事異動>

 ⇒ 企業における総務部の仕事(3) 福利厚生とは?

 ⇒ 企業における総務部の仕事(4) 福利厚生<健康管理>

 ⇒ 企業における総務部の仕事(5) 福利厚生<冠婚葬祭と社葬>

 ⇒ 企業における総務部の仕事(6) 社葬の手引き


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