実務BOX

2012年09月14日

繰り返されるセクハラトラブル、解決への道<2>

方針の明確化と周知徹底、毅然とした対応がカギ


 セクハラ防止策を進める上で重要なのは、まず、セクハラが「被害者の基本的人権(人格権)を侵害する違法な行為」であることを認識することです。また、セクハラによって企業の責任が問われれば、その対応で時間が奪われるだけでなく、敗訴すれば、賠償費用が必要となります。さらに、問題が公になれば企業イメージは失墜します。被害者・加害者が最終的に退職に追い込まれることも多く、それ以前に、日常的にセクハラが行われている職場は秩序が乱れるだけでなく、士気の低下、生産性低下などにつながり、メリットは一つもありません。セクハラを発生させないために、早急に予防策を講じましょう。


【セクハラ問題が企業に及ぼすリスク】


 1. 法令違反
 2. 紛争対応による時間的損失、および賠償金支払いなどによる経済的損失
 3. 優秀な人材の流出
 4. 職場の士気低下、生産性低下、モラル低下
 5. 企業イメージの低下


【セクハラ防止に向けて3つの具体策】
 

 

 事後のセクハラ対策を考えることも重要ですが、まずはセクハラが発生しないよう、予防策を講じることが先決です。


(1)  方針の明確化と周知・啓発

 

 セクハラの定義、セクハラに対する自社の方針、行為者への厳正な対処方針、セクハラ相談および事実関係の確認に協力したことなどを理由として不利益な取り扱いを行ってはらない旨などを定め、就業規則その他の服務規律などに規定します。そして、どのような言動がセクハラに該当するのか、行為者にどのような対処や処分がなされるのかなど、それらの内容について、社内報、啓発パンフレット、社内イントラ等も活用しながら、周知・啓発します。
 

 

 加えて、新入社員やリーダー対象の研修などの教育研修プログラムに、セクハラ研修を組み込みます。ケーススタディやディスカッション等を盛り込んだ内容にすれば、自己の行動の振り返りとともに、気づきを得ることができます。啓発目的の書籍やビデオを配布する、eラーニングの必修項目にするなども有効です。

 

 セクハラ問題を解決する上で、カギとなるのは管理職の存在です。セクハラは上司と部下の関係や、コミュニケーションギャップにより引き起こされることが多々あるからです。「セクハラを許さない」という強い姿勢を管理職と共有するためには、地道に根気よく啓発していくしかありません。特に管理職に対する研修は念入りに実施しましょう。

 


(2) セクハラ相談窓口の設置

 セクハラについて従業員が相談できる体制を確立します。これによってセクハラの恐れがある行為を初期の段階で防ぐことができます。すでに相談窓口を設置している場合は、社内に周知されているか、相談は面談だけでなく、メール、電話でも受けられるか、プライバシーが守られているかなど、利用する従業員側の視点でチェックします。

 相談に対応する担当者は、セクハラについて十分に知識を持ち、相談内容や状況に応じ適切に対応できる人を人選します。できれば女性が被害申告をしやすいよう、男性だけでなく、女性の担当者も配置します。「適切な対応」とは、被害者が受けている性的言動などの性格・態様によって状況を注意深く見守る程度のものから、上司・同僚などを通じ、行為者に対し間接的に注意を促すもの、直接注意を促すものなど事案に即した対応を行うことを指します。セクハラ問題への理解が浅いと、いわゆる二次被害(相談者が相談窓口の担当者の言動などによってさらに被害を受けること)に発展しかねません。また、セクハラが現実に生じている場合だけでなく、発生の恐れのある場合や、セクハラに該当するか否かが微妙な場合も含めて、広く相談に対応していかなければなりません。対応の仕方、カウンセリング方法など、相談担当者への研修も実施する必要があります。

 

 セクハラ相談のホットラインを外部に委託する方法もあります。外部に委託することで、被害者のプライバシーが守られ、より一層、被害の申告がしやすくなります。

 


(3)セクハラが発生した場合の対応を定める

 

 相談・苦情を受けたら、初期の段階で迅速・適切に対応します。問題を放置したり、対応が遅れると、問題がこじれ、被害が拡大してしまいます。そのためにも、セクハラ問題が生じた場合の担当部署や責任者、対応の手順などをあらかじめ明確に定めておきましょう。

 事実確認にあたっては、被害者の心情、関係者のプライバシーに十分配慮した上で、双方の主張を公平に聴き取りましょう。聴き取りはどちらかの一方に偏ることがないよう、男女ペアで行うことが望ましいです。双方の言い分が異なり、対応に苦慮する場合は、弁護士などの専門家に入ってもらい、意見をもらった上で会社としての判断を行うとよいでしょう。セクハラの事実が確認できた場合は、公正なルールに基づき、行為者を処分します。


 

 

 問題を軽く考えたり、企業の体裁を気にして秘密裏に事を処理しようとしたり、当事者同士の解決に委ねようとすると、問題の解決を困難にします。初期の相談の段階から、真摯に取り組むことが大切です。


【セクハラ再発防止に向けて】


 セクハラ相談が寄せられた場合は、たとえセクハラが生じた事実が確認できなかったとしても、これまでの防止対策に問題がなかったかどうか、社内に相談しづらい雰囲気がないかどうかなど、再点検するとともに、あらためて自社の方針やセクハラ防止規定などについて周知を図ります。


 セクハラについて処分が行われた場合は、速やかにセクハラの内容や処分内容を公表します。また、定期的に実態調査を行い、自社のセクハラの現状を把握するといいでしょう。この場合、匿名で実施する必要があります。

 

 

<参考資料>
厚生労働省「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!」↓
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/kigyou01.html

 

 

(この記事は2012年9月14日公開のものです)

 

 

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