実務BOX

2012年09月13日

自衛消防隊(自衛消防組織)とは

自衛消防隊は、火災および地震等の災害時に初期活動や応急対策を円滑に行い、人的または物的な被害を最小限に抑えるために、防火対象物(防火管理が義務付けられている建物)において設置される組織です。


 火災や地震その他の災害等が起こった際、被害を最小限に食い止めるためには迅速かつ的確な初期活動が重要となります。そこで、消防法第8条の2の5では、特定の防火対象物において自衛消防隊の組織というものを義務付けています。防火対象物のうち多数の者が出入りするものであり、かつ、大規模なもの、消防法施行令第4条の2の4で定める基準に該当する場合(下記参照)は自衛消防隊を設置しなくてはなりません。


≪自衛消防組織の設置を要する防火対象物≫


 消防法第8条が該当となる防火対象物で、以下の用途、規模に該当するものが自衛消防組織の設置の対象となります。

 


1.別表(右図※クリックで拡大します)第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項から(12)項まで、(13)項イ、(15)項及び(17)項(以下「対象用途」という。)に掲げる防火対象物(共同住宅、倉庫、格納庫は含まれません。)で以下のいずれかに該当するもの 自衛消防隊図表.png

 

 ・地階を除く階数が11以上で、延べ面積1万平方メートル以上
 ・地階を除く階数が5以上10以下で、延べ面積2万平方メートル以上
 ・地階を除く階数が4以下で、延べ面積5万平方メートル以上

 

 

2.別表第1(16)項に掲げる防火対象物で、対象用途を含むもので以下のいずれかに該当するもの

 

 ・対象用途が11階以上にあり、対象用途の床面積の合計が1万平方メート

  ル以上
 ・対象用途が5階以上10階以下にあり、対象用途の床面積の合計が2万平

  方メートル以上
 ・対象用途が4階以下にあり、対象用途の床面積の合計が5万平方メートル以

 

 

3.別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの

 

 ・同一敷地内に管理権原が同一の建物が複数ある場合には、それらの建物を一の建物として義務を判断します。
 ・建物内の事業所等の規模ではなく、防火対象物全体で、義務の判断を行います。


 

 事業所が複数ある防火対象物においては、事業所ごとの自衛消防隊の組織である事業所自衛消防隊と、この事業所自衛消防隊を地区隊とする防火対象物全体にわたる自衛消防隊の組織である防火対象物自衛消防隊を編成します。

 

≪自衛消防隊の組織編制≫

 

 社員を守るため、会社を守るため、或いはお客様を守るために、自衛消防隊は組織編成され、訓練されるものです。具体的には、消防隊長以下、初期消火係、通報連絡係、避難誘導係、応急救護係、非常持出係という要員で編成します。

 

 自衛消防隊の各係とその役割は下記の通り。建物が数階にわたる場合や同一敷地内に複数の事業所が存在する場合は、各階、各事業所に自衛消防隊を編成します。

 (1)消防隊長...防火管理責任者自身若しくはその上長が隊長
 (2)通報連絡係...放送設備を使用し他従業員への連絡、消防署への通報
 (3)初期消火係...初期消火及び付近の可燃物の撤去
 (4)避難誘導係...従業員の避難誘導、負傷者・逃げ遅れた者の確認と隊長への報告
 (5)応急救護係...救急車到着までの負傷者の応急手当てと入院先の確認
 (6)非常持出係...重要印鑑や有価証券、重要書類の屋外への持出

 


【消防隊長】
 (1)目的
   ・自衛消防活動の指揮統制
   ・負傷者被災状況把握
   ・消防隊への引継

 (2)行動内容
  ●自衛消防活動の指揮統制
   ・火災状況の把握
   ・消防への通報指示
   ・在館者への連絡指示
   ・初期消火活動指示
   ・消防本部(避難場所)及び避難径路の指示
   ・避難誘導活動指示
  ●負傷者及び被災状況把握
  ●消防隊の火災現場への誘導、出火場所への最短通路誘導
  ●消防隊への引継
   ・出火場所
   ・燃焼物体及び燃焼範囲
   ・危険物等、消火活動上支障あるものの有無
   ・逃げ遅れ者の有無
   ・避難誘導状況(避難場所、避難人数)
   ・負傷者等の状況
   ・初期消火状況
    ※いつでも消防隊の質問に応じられるよう、消防隊の指揮本部から離れない

 (3)必要資材
   ・建物図面
   ・当該日の出勤表

 


【初期消火班】
 (1)目的
   ・出火場所への急行
   ・短期間で消火し被害を最小限にとどめる

 (2)消火要領
   ・消火器の使用
   ・消火栓の使用
   ・注意点
     1.消火器で鎮火した場合も水をかけて完全に消火する
     2.煙に惑わされず無駄な注水をせずに、必ず火点を確認して注水する
     3.消火栓の場合は過剰注水による水損に留意する
     4.避難時期を失わないように常に退路を確保する

 


【通報連絡班】
 (1)目的
   ・消防署への火災発生通報(119番通報)
   ・他従業員(館内)への火災発生連絡
   ・各担当への指示命令伝達

 (2)連絡要領
  ●各事業所の全館放送の使用方法を記載しておく
   例)
   ・総務部机上のマイク
   ・電源を入れる
   ・一斉ボタンを押す
   ・マイクを押しながら話す
   ・「ただ今、○○階○○部分より火災が発生しました。避難誘導に従い、慌てずに

    ○○側階段より、屋外へ避難してください。」
   ・2回繰り返す
   ・以上が終了したら、避難誘導に従い屋外へ避難。

 


【避難誘導班】
 (1)目的
   ・在館者の安全な避難誘導
   ・負傷者及び逃げ遅れた者の確認
   ・非常口の開放と避難障害物の除去

 (2)誘導要領  ※どのような火災であっても在館者全員の避難誘導を行なう
   ・火災発生場所別避難経路により避難経路を判断
   ・メガホン、拡声器で行なう
  ※各課、各チームに、上長がメンバーを束ねて避難誘導に従うこと。
    人数を分散して、引率者を決めておき、引率者が避難完了報告を行なう。
    (避難完了報告とは、消防隊長や消防本部に避難状況の報告をすること)
   ・誘導人員の配置場所は、事務所等の出口、通路の曲がり角、階段の入り口
   ・事務所等の扉、避難階段の扉、屋外への出口の扉を開放する
   ・エレベーターの使用は禁止させる
   ・1度避難した者は、再び戻らせてはならない
   ・誘導員が退避するときは、逃げ遅れた者を確認する
   ・最終誘導者が防火戸を閉める

 

 

【応急救護班】
 (1)目的
   ・応急救護所の設置
   ・負傷者の救急措置
   ・救急隊との連携、情報の提供

 (2)救急要領
   ・負傷者が発生した場合は、直ちに救急車を呼ぶ
   ・救急車到着までの救急措置

 


【非常持出班】
 (1)目的
   ・重要印鑑や有価証券、重要書類の屋外への持出

 (2)持出要領
  ●非常持出物品 ※参考例
   ・社長室...実印
   ・事務室...印鑑、金庫内の重要書類
   ・非常持出係が鎮火まで保管管理

 

 

≪自衛消防隊の設置(変更)届出≫

 

 防災管理対象物の対象用途の管理権原者は、自衛消防組織を設置したとき及び変更したときは、遅滞なく自衛消防組織の要員の現況等を、自衛消防組織設置(変更)届出として管轄の消防署に届け出る必要があります。届出はすべての管理権原者に義務付けられますが、防災管理対象物全体で一の自衛消防組織を設置することから、届出者は連名又は代表者とすることも可能です。
届出は、消防法施行規則に定められる「自衛消防組織設置(変更)届出書」に、必要な書類を添付します。


■添付書類
  1 統括管理者の資格を証する書面
  2 防火対象物自衛消防隊編成表及び任務表
  3 事業所自衛消防隊編成表及び任務表(複数管理権原者の場合)
  4 防火対象物自衛消防隊資格管理表
  5 事業所自衛消防隊資格管理表(複数管理権原者の場合)
  6 営業時間外等の防火対象物自衛消防隊編成表
  7 自衛消防協議会構成員一覧表(複数管理権原者の場合)

 

 

 

(この記事は2012年9月13日公開のものです)

 

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