実務BOX

2012年09月13日

繰り返されるセクハラトラブル、解決への道<1>

強まる企業の法的責任、賠償金も高額化の傾向に


 「セクシュアルハラスメント(以下セクハラ)」という言葉は、すでに一般に定着し、多くの人が「性的嫌がらせ」という意味合いを理解していますが、職場におけるセクハラトラブルはあとを絶たないのが現状です。実際、平成23年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談のうち、52.5%がセクハラの相談で、前年度と比較すると2.5%増えています。


 

 セクハラ問題は、被害者・行為者間の個人的トラブルではなく、雇用管理上、企業が対応しなければならない問題であると法的に位置付けられています。日頃から十分な対策を取っておくことが、リスク回避の近道といえます。



【セクハラとは】

 

 職場におけるセクハラは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する、「性的な言動」に起因するものです。

 

●「職場」
 労働者が業務を遂行する場所であり、勤務時間外の宴会であっても、参加者や参加を強制されるなど、実質、職務の延長と考えられるケースは職場に該当します。

●「労働者」
 正社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイトなど、その名称を問わず労働者全てが含まれます。

●「性的な言動」
 性的な内容の発言、性的な行動を指します。事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客などもセクハラの行為者になり得ます。また、女性が女性に対して行う場合、男性が男性に対して行う場合も含まれます。

 

【セクハラの種類】

 

 

 

 厚生労働省の指針によると、職場におけるセクハラは「対価型」と「環境型」に大きく分類されます。

 

●「対価型」
 性的な言動を受けた被害者の対応(拒否、抵抗)などにより、その被害者が解雇、降格、減給などの不利益をうけるタイプのセクハラです。たとえば、上司が部下に対し、性的な関係を求めたが拒否されたため、不利益な配置転換をするケースなどが挙げられます。

 

●「環境型」
 性的な言動により、就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響を及ぼすなど、その労働者が見過ごせない程度の支障が生じるタイプのセクハラです。たとえば、上司が部下の腰、胸などにたびたび触ったため、被害者が苦痛に感じて就業意欲が低下するケースなどが挙げられます。

 

【セクハラの判断基準】

 

  セクハラに該当するか否かは、「相手の意に反する」性的な言動であるかどうかがポイントです。しかし、同じ言動をされても感じ方は個々人で異なります。従業員からセクハラの相談を受けた場合、被害者の主観を尊重しつつも、客観性をもって判断していく必要があります。

 

【セクハラにおける企業の法的責任】

 

  男女雇用機会均等法の改正により、2007年4月から、全ての事業主にセクハラ対策として具体的な措置を講じることが義務化されました。これに違反し、勧告にも従わない企業は企業名が公表されます。また、改正以降、セクハラ裁判では企業がきちんとした措置を取っているのかどうかを厳しく問う流れになっています。これを受けて、賠償金の高額化も顕著になっています。

 

 

●男女雇用機会均等法第11条および指針
 職場における性的な言動について、労働者が不利益を受けたり、就業環境が害されることのないよう、事業主は雇用管理上、必要な措置を講じなければなりません。

 

 

●労働契約法第5条(安全配慮義務)
 労働契約にともない、使用者は労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするよう定めています。

 

 

●刑法上の責任
 セクハラの言動によって、刑事責任が認められると、加害者は刑事処分を受けることになります。代表的なものに以下のようなものがあります。

  ・強姦、強制わいせつ
  ・障害
  ・名誉棄損
  ・侮辱
  ・脅迫

 

 

●民法上の責任

 <加害者の法的責任>
   ・人権侵害、人格権を侵害する不法行為(民法709条)
   ・働きやすい職場環境で働く権利の侵害(民法709条)

 <使用者の法的責任>
   ・使用者の不法行為(民法715条)
   ・使用者の職場環境調整義務違反(民法415条)

 

 

(この記事は2012年9月13日公開のものです)

 

 

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