実務BOX

2012年09月07日

安全で快適なオフィスレイアウトの基本

「働きやすく、効率的で、快適」なオフィスを作るには

オフィスレイアウトの基本は、第一に安全で、かつ機能性の高い配置になっていることです。オフィスは、社員が1日の大半を過ごす空間。だからこそ、安全であることに加えて、「働きやすく、効率的で、快適」なオフィス作りが重要といえます。人、モノ、金、情報に次ぐ「第5の経営資源」ともいわれるファシリティ。これを有効活用するために、知っておきたいオフィスレイアウトの基本について紹介します。


≪オフィスレイアウトの第一歩はコンセプト作りから≫
 オフィスのレイアウトをするには、まず始めに「どういうオフィスにしたいか」という基本方針(コンセプト)を決めるところから始まります。


 オフィス内で行われる実務は、担当する部署やその担当者、実務が遂行される時間あるいは曜日など、さまざまな状況が想定されます。そのため、まずは自社のワークスタイルを把握する必要があります。


 各部署や担当者の情報を得ながら、どのようなオフィスが働きやすくなるのか、社内で十分にヒアリングを実施し、「どのようなオフィスが自社に合っているのか」についての意見を出し合い、イメージすることが重要です。その上で、たとえば「役職や年齢に関係ない自由なワークスタイルのオフィス」や「社員が健康的に安心して働ける空間」など、オフィスレイアウトの骨子となるコンセプトを決めていきます。具体的にコンセプトが決まれば、オフィスの完成図がよりイメージしやすくなるはずです。


◆◇コンセプトと具体的なイメージの例◇◆
1.「役職や年齢に関係ない自由なワークスタイルのオフィス」なら
  各自が固定のデスクを持たず、空いている席を自由に使えるフリーアドレスのオフィスに
2.「社員が健康的に安心して働ける空間」なら
  社員がホッと一息つけるように、ワークスペース以外にリフレッシュスペースを設置
3.「明るく開放的なオフィス」なら
  背の高い家具などの什器を置かず、オフィス全体の見通しをよくすることで、フロア全体
  が広く感じられるように工夫
4.「クリエイティブな作業がしやすいオフィス」なら
  デスクトップパソコンとノートパソコンで同時に作業できるような広めのデスクを用意

 


 このように、最初にコンセプトを決めておけば、後々「どんなレイアウトデザインにすべきか」「家具はどんなものを選べばよいか」等について迷った時でも、そこに立ち返って選ぶべき方向性が見えてきます。オフィスのコンセプトを決めることは、オフィスレイアウトを進める上での大事な一歩なのです。


≪オフィスレイアウトの成否を分けるゾーニング≫
 
 コンセプトが決まったら、次はゾーニングについて考えます。
 ゾーニングとは、ワークスペースや会議室、社長室などオフィスを構成するさまざまなゾーンをオフィス全体のスペースに割り付けることをいいます。ゾーニングは、業務上必要なコミュニケーション、オフィス内の動線やスペース配分に大きな影響を及ぼし、業務効率を左右するといっても過言ではありません。


 ゾーニングを考えるには、それぞれの機能スペースから考えていきます。機能スペースとは、業務やそれに伴うオフィス生活に必要なスペースのことです。具体的には以下のようなものがあげられます。


(1) 一般執務スペース
オフィスのなかで最も面積を占めるスペースで、実際に執務を行うワークスペース

(2) 役員専用スペース
役員が専用で使う場所。役員室や役員用会議室など。役員席が一般執務スペースにある場合は考慮しない

(3) 業務支援スペース
仕事をサポートする場所。会議室や応接室、受付やコピー・プリンター等の設置場所など

(4) 情報管理スペース
文書保管庫やサーバールームなど

(5) 生活支援スペース
社員食堂や喫煙室、リフレッシュルームなど日常生活に関わるスペース

(6)管理スペース
ロッカースペースや倉庫スペースなど


(7) 交通スペース
人が通るスペース。通路や廊下のこと


 まず、オフィス全体を100として、各スペースの配分を決めます。下記図表のように、利用度の低いスペースは配分を小さく、利用度の高いワークスペースは配分を大きくします。ワークスペースが全体に占める割合は、50?60%が一般的です。
 スペース配分ができたら、「オフィスの面積×配分率」で各スペースの面積を出し、それぞれの配置を決めていきます。


 レイアウト図表1.png


 ゾーニング計画では、各スペース間の関連性を考慮した上で、間取りを考える必要があり、また、従業員や来客者の動線も考えて、全体とのバランスを保たなければなりません。それぞれの部門や来客者との関連性を考慮し、密接な関係をもつ部門・エリアを隣接させることで業務効率化を図ります。部門・エリアごとの関連性を調べ、隣接させたほうがよい部門、離したほうがよい部門等についても考慮しながら進めていきます。来客を迎えたり、配達物を受け取るために受付スペースの近くに管理系の部門を配置したり、来客者との打合せが多い営業部と応接室などは隣接させるといった配慮が必要となります。


 また、セキュリティの面でも、社外の人間が不用意に執務スペース内を歩きまわれないよう、来客者用のスペースと社内用のスペースを明確に区分することで、情報漏洩による企業の信頼性損失といったケースを未然に防ぐことも可能になります。ゾーニングは、個人情報保護法に伴うプライバシーマークやISO27001を取得する際にも重要なポイントとなります。
このように、必要な各スペースの用途や利用する人をイメージしながら、間取りを行うことが重要なポイントといえます。


◆◇その他、ゾーニングの留意点◇◆
※1.配管、配線によって業務機器の設置や設備機器の配置が異なるため、
   各スペースの配置を決める際には、天井裏の配管や配線等にも注意が必要です。
※2.建築基準法などの法規についても注意しなければなりません。
   たとえば、建築基準法施行令では、片側にのみ部屋がある場合の廊下の幅は1.2m以上、
   両側に部屋がある場合の廊下の幅は1.6m以上にしなければならないと定められています。


 レイアウト図表2.png


≪オフィスレイアウトのための基本データ≫ 


 ゾーニングが決まったところで、次はオフィスの通路幅について考えます。オフィスのレイアウトを考える時には、まず適正な通路幅を確保することが、働きやすく快適なオフィスを作るための早道といえます。


 

 ワークスペースのレイアウトを考える際、通路の確保やわかりやすい動線など、安全性と機能性に配慮することが大事です。デスク間の距離が狭いために、人が通りにくいといったことでは、ワークスペースとしての機能を果たせなくなってしまいます。下の図を参考に適正な通路幅の確保を心がけましょう。


 レイアウト図表3.png


1.メイン通路
オフィスのメイン通路(多くの人が利用する通路)は、人がスムーズにすれ違える広さを確保します。人の標準的な肩幅は45センチとされていますので、男性2人がすれ違える程度の幅を考慮して、最低でも1.2m以上は取りたいところです。
この通路は災害発生時にも避難のメイン通路となるので、この幅はできるだけ広く取りましょう。


2.壁面とデスクの間
座席の後ろと壁面を通る場合の通路幅です。デスクワークで着座した場合、デスクから約45センチ程度の着座スペースが必要となります。実際のイスの可動域はもう少し広いものですが、あくまでデスクワークをしているものとして算出し、メイン通路ではない場合、1.4m程度確保すれば十分といえます。
役職者の後ろなど人を通したくない場合には、あえて90センチ程度に狭くするということもあります。


3.デスクとデスクの間
デスク同士が背を向ける形でレイアウトした場合に必要な通路幅で、スムーズに人が通れるスペースとして1.8mあればスムーズに機能します。両サイドの人間が着座してデスクワークをしている場合に、人が1人スムーズに歩ける幅です。スペースに余裕がない場合でも1.4mは確保したいところです。


4.デスクサイドとデスクサイドの間
デスクを横並びに配置した場合に必要となる通路幅です。デスク同士に挟まれた通路は座っている人がいない分、一般的には90センチあれば十分とされています。
ただし、メイン通路にするという場合には、1.2mは必要になるので、全体のレイアウトを考慮して通路幅を決める必要があります。


5.デスクとデスクサイドの間
デスクとデスクサイドの間の通路幅は、イスの可動範囲を考慮して1.2m必要とされます。前述のように、デスクとデスクサイドをメイン通路にするようなレイアウトでは1.6m程度必要となるので、オフィスのスペースにゆとりのあることが必要です。


≪オフィス作りも"安全第一"≫


 オフィスで働く人や企業の財産を守るためには、セキュリティに配慮する必要があります。オフィスで求められるセキュリティには、地震や火災などの災害対策と、入退室管理や盗難予防といった防犯対策、情報漏えいや流出を防ぐ情報セキュリティが考えらえます。オフィスで守るべきものは、人、モノ、金、情報といわれますが、いうまでもなく第一に守るべきは「人」です。もしも地震や火災が起きた時、人の安全を守ることは何より重要です。オフィス作りの際は、人の安全を確保するための対策を取り入れながら進めなければなりません。


 日本は世界でも有数の地震多発国です。昨年、我が国に大きな爪跡を残した東日本大震災の際にオフィス内にいた、という方も多かったのではないでしょうか。地震発生時のケガの主な原因として、転倒した家具類や棚からの落下物に当たる、逃げる際の転倒、割れたガラスへの接触などがあげられます。このことから、家具類の転倒や棚などからの落下物の防止、適切な避難路の確保が、地震時の対策として重要になります。


 下記の「地震対策チェック表」を見ながら、あなたのオフィスが安心で安全な対策をとっているかどうかチェックしてみてください。NOのチェックマークがついた項目があった場合は、速やかに是正しましょう。


 レイアウト図表4.png


(この記事は2012年9月7日公開のものです)


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