実務BOX

2012年09月05日

社用車の車両管理の基本(1) 車両管理はなぜ必要なのか?

押さえておきたい車両管理の基本。各種書式のテンプレートも用意

業務中の社用車を利用していて、万が一、交通事故を起こしてしまったら、相手方はもちろん、自社、そして社会にも多大な損害を与えることになります。しかし、企業側の適切な運行管理、車両管理、労務管理等を確実に行うことでリスクを軽減することが可能です。まずは、社用車の車両管理の基本を確認していきましょう。


<企業のリスクマネジメントとして捉える車両管理>

 

車両管理1図表.png 自社の従業員が社有車運転中に交通事故を起こした場合、その従業員本人に対しては、民法第709条の不正行為の規定によって損害賠償責任が生じます。

 

 そして、企業にも民法第715条の使用者責任が問われ、さらに運行共有者として損害賠償責任を負う場合があります。運行共有者とは、運行利益と運行支配が帰属する者のことをいいます。使用者責任が監督的立場から生じるのに対し、運行によって利益を得ている運行供用者も等しく損害を負担すべきという考えに基づき、運行共有者責任が生じます。

 

 つまり、車両管理は企業のリスクマネジメントという見地からも行う必要があり、事故を起こさないよう適切な車両管理を行っていれば、その損害を最小限に食い止めることができます。そのため、社用車の車両管理は、車両に関するリスク管理、車両管理規定の作成、車両の点検・整備、事故発生等の緊急対応など、管理業務が多岐にわたります。

 


<車両管理の具体的内容>


 車両管理は、対象となる車両が移動するものであるため所在の把握がしにくく、管理者の目の届かないところで使用されるため、管理が複雑でたいへん手間がかかります。しかし、社用車で事故を起こしてしまうと、その管理者は責任を追及されるだけでなく、煩雑な事故処理に追われます。万が一のときのために次のような管理が必要です。

 


■安全運転管理者の選任・・・内閣府令における道路交通法施行規則では、乗車定員が11人以上で車両1台以上を使用する事業所、もしくは定員に関わらず5台以上の車両を使用している場合、安全運転管理者の選任を義務付けています(道路交通法第74条の3号)。安全運転管理者を選任しない企業には、罰則(5万円以下の罰金)があります(同法第120条1項11の3号)。

 


■安全運転管理者の業務・・・安全運転管理者の業務は主に以下の事項です。

 

1) 運転者の管理 → 運転者の安全運転に対する基準(運転歴や違反歴等も含め、社内で定めた技能・知識等の基準)を満たしている運転者のみに許可を与える「社内運転許可制度」を実施し、運転者台帳に記載し管理します。交通違反記録は自動車安全運転センターが管理しているので、必要があれば従業員に運行記録証明を取り寄せてもらいましょう。


2) 運行計画の作成 → 過労運転を防止するため、運行指示書と営業日誌によって運転状況を把握し、適切な運行計画を作成します。


3) 運転者交替要員の配置 → 長距離・夜間運転などが避けられないときには無理な運行計画を立てず、安全第一を実践するため、運転者の交替要員を適切に配置します。

 

4) 異常気象、天災の際の安全運転の確保 → 悪天候や天災発生などにより安全運転が確保できないと判断されるときは、運転を許可せず、車両の使用を中止します。

 

5) 運転者に対し点呼等で安全運転を指示 → 安全運転が可能かどうか判断するため、車両に必要な点検を実施しているか、飲酒、過労、病気、その他の理由により正常な運転ができない危険はないかなどを、運転者に対し点呼等で確認し指示します。


6) 運転日誌の備え付け → 運転者の氏名、運転の開始から終了までの日時、運転距離、その他運転状況把握のための必要事項を記録する運転日誌を備え付け、運転終了時に運転者に記録させます。


7) 安全運転講習の実施 → 運転者に対し、運転に関する技能や知識向上のための安全運転講習会等を実施し、安全運転のための指導を行います。


8) 車両管理台帳で車両の定期点検記録を管理 → 車両1台につき、定期点検の結果を車両管理台帳に記録します。

 

9) 車両使用台帳の備え付け → 対象車両の使用状況を把握するために行います。乗車するごとに必ず記入することで、使用者の特定、使用者ごとの特性を考慮した指導が可能です。


10) 事故対応マニュアルの作成 → 交通事故はいつ発生するかわかりません。事故発生時に迅速かつ適切に対応できるよう、事故対応マニュアルをきちんと作成しておきます。

 

※下線の付いた1)から7)は、道路交通法施行規則で挙げられている7項目

 

【参考書式例】

 A 車両管理台帳テンプレート.xls

 B 運転日誌テンプレート.xls

 C ドライバー用交通事故対応マニュアル(サンプル).doc

 D 担当者用交通事故対応マニュアル(サンプル).doc

 

<車両管理規定の作成>

 

 車両管理では、安全運転管理の取り組みがもっとも重要です。しかし、安全運転管理者を選任しても、各部署・個々の従業員に任せる部分が多くなり、管理方法や仕方にばらつきが出てしまうため、車両管理規定を定める必要があります。社内の一定のルールと運用を厳格化することで、リスク軽減につながります。

 

 

(この記事は2012年9月5日公開のものです)

 

 

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